第266回 元本が保証されているものでの運用vs 投資

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第266回 元本が保証されているものでの運用vs 投資

<質問>

40代女性です。子どもの教育資金と自分の老後資金用に定期預金及び投信積立をはじめたいと考えています。投資用の資金は限られていますが、定期預金などの元本保証があるものと投資に仕向けるお金の配分はどのように考えるとよいのでしょうか。考え方を教えてください。

<回答>

短期的な相場変動を使って売買を繰り返してお金を増やそうとする「投機」と異なり、「投資」は時間をかけて中長期的に投資先の資産のリターンでお金を増やそうとするものです。ここで言う中長期というのは最低でも3年以上の期間を指します。3年以内に使う予定のあるお金は投資すべきではないと思います。積み立てにせよ、一括投資にせよ、一旦投資をしたら3年は絶対に使わないだろうと考えるお金で行うべきものでしょう。3年以内に使う予定のあるお金は預金など元本が保証されているもので運用すべきでしょう。


1年後に使う予定のある100万円は1年後に100万円以下になってしまうのは困るはずです。投資というのは元本以下になるリスクをとって、預金より高いリターンを得ようとするものですから、こうしたお金はそもそも投資に向いていないと考えられます。リスクをとってでも時間をかけて大きく増やしたい、長期間使わないお金がインフレによって価値を失わないようにしたい、こういった目的の長期資金に投資は向いていると思います。


一方、預金というのは銀行にとっては借金です。借金ですから、当然ながら元本を返済すればそれでよいのです。たとえインフレが進行してジュースが1本1万円になっても、100円を借りた人は100円を返せばいいのです。100円を銀行に預ければ100円という元本は額面通りちゃんと返ってきます。しかし、お金を返してもらった時にジュースが1本1万円になっていれば100円の価値、100円というお金が持つ購買力は大きく低下してしまっています。車を買うのを我慢して将来のために貯金をした、取り出したら自転車しか買えなかった、ということになったらどうでしょうか。今車を買うことができる100万円を我慢して使わずに将来のためにとっておくならば、取り出した時にはやはり車が買えることを期待するのが普通でしょう。


そのために必要なのはインフレ率を上回るリターンです。残念ながら預金のリターンというのは通常、インフレ率よりも低くなります。日本はデフレだからと言う方もいらっしゃるかもしれませんが、今40代の方が老後を迎える頃までずっとデフレが続いていくとお考えになるのであれば、預金というのは良い選択だと思いますし、それはそれでご自身のお考えに合った運用方法ということになると思います。少しずつインフレが進んでいく、と考える方にとってみれば有効な選択肢になると思います。前述の3年以内に使うお金はこうしたインフレの影響をさほど受けないでしょうし、減ってしまっては予定の出費ができなくなりますので預金にしておくのが良いのではないでしょうか。


コラム執筆:ジョン太郎


金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本 」がある。

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