第272回 投資信託の選び方の考え方とは

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第272回 投資信託の選び方の考え方とは


<質問>

投資信託での投資を考えていますが、投資対象として、株や債券 また投資エリアとして日本のみ、海外(先進国・新興国)など投資先が絞られているもの、または、1つの投資信託で株と債券そして、全世界を対象としている投資信託もあります。


初めての投資の場合は、投資対象が絞られているもののほうがよいのか?全体にバランスがとれられているものがよいのか?どう考えればよいのでしょうか。


<回答>

まず、株と債券というのは性質が大きく異なります。どちらが良いというものではなく、自分の考えに応じて株と債券の比率を決めればよいと思います。一般的には株の比率が高いほどリスクもリターンも高くなり、インフレに強くなります。反対に債券の比率が高いほどリスクもリターンも低くなり、インフレに弱くなります。


次に投資国を絞るかどうか、についてお話しさせていただきます。例えば1/2の確率で資産が50%増えるか50%減る投資と、1/2の確率で資産が5%増えるか5%減る投資、ではどちらが良いでしょうか。答えは人によって異なると思いますのでどちらを選んでもよいと思いますが、この2つの投資は全く異なる性質の投資です。


投資国を絞るということは大きなリスクをとることになり、大きなリターンを得られる可能性もありますが大きな損失を被る可能性もあります。投資国を分散すると、大きなリターンを得られる可能性は低くなりますが大きな損失を被る可能性も低くなります。


例えばある国への投資が大きなリターンをもたらしてくれると予想したとしましょう。この国に100%投資するか、この国を含めた10ヶ国に10%ずつ投資するか、で当然ながら結果は変わってきます。この国への投資のリターンが30%、他の9ヶ国のリターンが全て5%だった場合、この国に100%投資していれば30%のリターンになりますが、10ヶ国に分散していた場合7.5%のリターンになってしまいます。しかし、予想に反してこの国への投資のリターンが-30%、他の9ヶ国のリターンが全て5%だった場合、この国に100%投資していれば-30%のリターンになってしまいますが、10ヶ国に分散していた場合1.5%のリターンとプラスになります。


また、初心者の方に多いのは、1ヶ国に投資していたほうが分かりやすいから(例えば、豪ドルだけに投資していれば豪ドルの動きだけ見ておけば自分が儲かっているか損しているか分かるが、分散してしまうと上がっているか下がっているかが分からない)という意見です。投資の目的はリターンを得ることで、毎日自分の損益状況を把握することではありません。極端な話、「分かりやすくて自分の損益状況が簡単に把握できるが毎日どんどん下がっていってしまう。」のでは何のための投資か分かりませんし、分かりやすさを優先して本来の自分の考えに合わない投資をしてしまっては本末転倒です。リスクを抑えたいから債券100%の投資をしようと考えたのに、分かり易さを求めて1ヶ国の債券に集中投資してしまうというのはその典型例です。


ご自分が大きなリスクをとっても大きなリターンを狙いたいのかどうかをまず考えて、その考えに即した形にするのがよいのではないでしょうか。


コラム執筆:ジョン太郎

金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本 」がある。

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