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<質問>
ロムニー前マサチューセッツ州知事が共和党の大統領候補に指名され、米国大統領選挙も終盤に差し掛かりますが、大統領選挙前後に特徴的な市場の動きはあるのでしょうか?
<回答>
ご質問、どうもありがとうございます。今回は、JPモルガン・アセット・マネジメントの鈴木英典がお答えします。
いよいよ4年に一度の大統領選挙ですね。振り返って見ると、民主党オバマ候補と共和党マケイン候補が争った前回、2008年の選挙はリーマン・ショックの大混乱の中で行われましたが、このとき米国株式市場は、大統領選挙を挟んで、8月末から12月末にかけて25%も急落しました。一方、そのさらに4年前の2004年には、イラク紛争が続く中、現職の共和党のブッシュ大統領が民主党のジョン・ケリーを下しましたが、この時、米国株式市場は11月、12月に7%も上昇しています。
このように大統領選前後における米国株式市場の動きは、経済環境次第ということで、年毎に異なるわけですが、1900年以降、合計28回の大統領選挙前後の米国株式市場の動きを分析してみてみると、騰落率が平均よりやや高くなるという傾向が見られます。具体的には、全期間(1903年~2011年)の月間平均騰落率が+0.54%なのに対して、大統領選挙があった年の11月は+1.49%と平均より約1%も高くなっています。さらに、その前後の10月と12月の平均騰落率も、それぞれ+0.35%、+0.74%とプラスになっていますので、3ヵ月合わせると+2.58%と非常に大幅なプラスになります。
しかし、ここで、「大統領選に向けて株は買いだ!!」と早まってはいけません。実は、米国の株式市場の動きには、11月、12月は大統領選挙がなくても上昇しやすいという季節性が見られるからです。11月の平均騰落率は0.86%、12月は1.25%といずれも全期間の月平均0.54%を大幅に上回る数値となっています。さらに、第二次大戦後のみで見てみると、11月の平均が1.30%、12月は何と1.78%です。つまり、秋から年末にかけては、大統領選があってもなくても米国株式市場は上昇する傾向があるということです。このような市場の癖をアノマリーと呼びます。ちなみに、月別平均騰落率の最高は7月の1.17%、最低は9月の-0.93%、戦後のみでだと、最高は4月の1.82%、最低は、同じ9月の-0.74%です。このようなアノマリーは、昔も今も、あまり変わっていないようです。
ところで、大統領選挙の年のみ上昇傾向が際立って高まる月があります。それは8月です。大統領選挙の年の8月の平均騰落率は2.88%、全期間での8月の平均騰落率は0.86%ですから、2%も差があるわけです。これって何?ということですが、4年に一度の大統領選挙のちょっと前にある大イベントといえば、そう、夏のオリンピックです。これを見る限り、大統領選よりもオリンピックの方が市場への影響が大きい!ってことでしょうか?
(米国株式市場:ダウ・ジョーンズ・インデックス、特に言及のない限り1903年~2011年の月次リターンをベースに算出)
コラム執筆:
鈴木英典(すずき・ひでのり)
JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社
投資戦略ソリューション室長
JPモルガン・アセット・マネジメントのホームページにおいて、連載コラム「投資耳(ミミ)」https://www.jpmorganasset.co.jp/wps/portal/Column/Indexや「資産運用の井戸端トーク」https://www.jpmorganasset.co.jp/jpec/ja/promotion/column/index.htmlを執筆。
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