今知りたい!投資の悩みやお金に関する質問に資産運用の熟練講師がお応えします。
<質問>
リーマンショックの直前から投資を始めました。
欧州危機などで市場低迷が続いている状況ですが、そもそも投資・資産運用を続けていてよいのか?と悩んでいます。老後のことなども心配なので、貯蓄と資産を並行して進めて将来的に資産を残しておきたいと考えていますが、なかなか精神的に辛い状況です。乗り越える方法を教えてください。
<回答>
まず、投資の自分の意思で行うものですから、義務ではなく、いつでもやめられるのです。ただ、やめる前にもう一度考えていただきたいのは、そもそもなぜ自分は投資を始めたのか、ということです。
ご自身の老後のことも考えてのことで、おそらくは長い時間をかけて資産を増やしていきたいとお考えになってのことだったと思います。その投資を始める前のご自身に2008年に始めた投資が2012年に大きな含み損を抱えていたらそれでも投資を続けるか、2012年にプラスになっていなければそこでやめるか、質問されてみたらご自身のお答えはどうだったでしょうか。
投資期間中ずっとプラスであれば、それに越したことはありません。しかし、良い時期悪い時期を繰り返す投資の世界でそうした状況がずっと続くということはまずありません。投資というのはそもそも良い時期悪い時期を繰り返す中で時間をかけてじっくり資産を増やして行こうとするものなのです。ここで投資をやめなかったとしても、いつかまた悪い時期は来ます。その時に後悔しないためにも、このタイミングで一度考える機会を得たことは良いことだと思います。
投資を始めてある時に大きなマイナスになっていたらやめる、のであれば右肩上がりの相場がずっと続くような素晴らしい世界でない限り、マイナスになっている状態で投資をやめることになってしまいます。これでは資産が増えるわけがありません。投資で資産を増やすためには、良い時期悪い時期を何度も繰り返す相場を乗り越えて長い時間をかけ、資産が増えてからやめなくてはいけないのです。
ご自身の現在の資産と、ご自分が期待する年金受給額で老後にもう不安はない、預金だけで十分、ということであれば投資をやめると結論をだすのもひとつの選択肢ではないでしょうか。そもそも自分は資産を増やす必要があるのかないのか、今ある資産だけで十分なのか、今後は預金利息だけで十分なのか、老後に期待する年金受給額と資産の取り崩しだけでやっていけるのか、投資で資産を増やすには良い時期悪い時期を何度も乗り越えなくてはならないが悪い時期にやめて資産を減らして投資を終えたりしないか、といったごくごく基本的な問いをご自分にされてみてはいかがでしょうか。
私自身も投資をしていますが、私は自分が投資しているものの値段をいちいちチェックしたりしません。見ても増えるわけではないですし、こんな相場でプラスになっているわけがない、こんな相場で売るために買ったんじゃないから、くらいに考えています。
コラム執筆:ジョン太郎
金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本 」がある。
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