第277回 これからの投資を考える上で考慮したいこととは

今知りたい!投資の悩みやお金に関する質問に資産運用の熟練講師がお応えします。

第277回 これからの投資を考える上で考慮したいこととは

<質問>

世界的な景気減速が懸念されています。何を基準に資産運用をするのがよいでしょうか。

<回答>

現在、世界的な景気減速が懸念されていますが、特に大きな経済圏の米国・欧州の景気が悪く、世界経済の大きな足かせになっています。景気や経済状態を考えるうえで最も重要な指標の1つが失業率です。私は、「いろいろな経済指標があり過ぎてどれを見たらいいか分からない。どれか1つだけ見るとしたらどれ?」「いろんな経済指標で良い数字と悪い数字が同時に出てきたりして良いのか悪いのか分からない時はどうしたらいい?」と言ったご質問を受けた時には、私なら失業率で見ますとお答えしています。失業率というのはそのくらい重要で信頼性のある指標だと私は考えています。

現在、欧米の失業率はかなりの高水準にあります。

参照記事の中の失業率推移のグラフをご覧いただければお分かりのように、失業率の低下には3年、5年、7年といった長い時間がかかります。また、失業率が大きく上昇するとその後の回復に要する時間も長くかかる傾向があります。

この数年、短期的にあるいは一時的に少し景気が良くなったような話が出てもすぐに状況が変わってしまったり、良い経済指標が出たというニュースが出てもすぐにまた状況が悪くなってしまう背景には、大きく上昇した失業率が示す雇用市場の深刻な悪化と長期間を要するので、その回復過程ということがあると思います。米FRBも先日のQE実施にあたり、インフレがコントロールされた状態での雇用情勢の回復という点に突っ込んでいます。

欧米ともに失業率の低下、正常化にはまだまだかなりの時間を要すると考えられます。また、現在のこの問題の難しいところは、雇用情勢の改善・失業率の低下のために政府がお金を使っていけば政府の財政が悪化し、他方で深刻化している欧米政府の財政に対する懸念を更に深刻化させてしまうというところにあります。もちろん逆もしかりで、政府が財政健全化のために支出を削減→雇用情勢が良くならない→景気が良くならない→景気が良くならないと政府の税収が増えない、という連鎖もあります。

欧米ともに政府の財政・債務問題と、雇用情勢悪化という問題が同時に起きていることからも、現状の問題が早期に劇的に改善するというのはあまり期待しにくいと思います。時間のかかる問題だと認めて、焦らずに長い時間軸で考えていくことが必要なのではないでしょうか。

(※)本内容は、2012年9月30日に執筆いたしました。

コラム執筆:ジョン太郎

金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本 」がある。

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