第287回 雇用統計などの経済指標を見る際のポイント

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第287回 雇用統計などの経済指標を見る際のポイント

<質問>
欧米の雇用情勢を知っておくことは大切だと思いますが、雇用統計などの経済指標を見る際のポイントを教えていただけませんか?

<回答>
経済指標を見る際のポイントはやはりそれぞれの指標ごとの特性、先行性がある、遅行性がある、トレンドを掴みやすい、短期のモメンタムを掴みやすい、市場の注目度が高い、低い)などをおさえたうえで見ることだと思います。また、他国との比較や、過去データの比較も重要です。この過去データとの比較の際に、多くのメディアでは最近のごく短い期間での比較が掲載される傾向があるので、近視眼的になりがちです。長い期間のデータを踏まえて足元の動きを把握しようと努める姿勢が大切だと思います。

こうしたことから、私はあまり欲張って数多くの経済指標をチェックするよりも、ある程度絞った経済指標を、水準感覚を持ちながら(このくらいだと高い、このくらいだと低い、など)、過去との比較を容易にしながら(ちょっと前までこんな感じだったな、など)、チェックしていくことをおすすめしています。

絞ってチェックするにしても、失業率はやはり外せないと思います。一般的には景気に対して遅行する傾向があると言われている指標ですが、近年は雇用環境の変化などの理由によりかつてに比べて遅行性が薄れているという見解も出てきています。市場の注目度も非常に高い指標であり、短期的に荒い動きをしにくいため、大きなトレンドラインを把握するのにも適しています。

この失業率を見る際のポイントは、
①定義をきちんと理解すること(カウントされるのは失業者のうち求職中の人のみ、など)
②失業率の数字だけでなく中身も見ること(雇用者は増えていないのに、就職を諦めた人が増えて失業率が下がった、など)
③前月比などの直近の変化だけでなく、中長期の推移もチェックすること(前月比低下したが、いまだ過去10年の最高水準圏、など)
④可能であれば世代別の失業率もチェック(高齢層の失業率は低下したが、若年層の失業率が大幅に上がっている、など)
といったあたりだと思います。

(参考URL)
http://jovivi.seesaa.net/article/297318375.html
http://jovivi.seesaa.net/article/291203727.html

コラム執筆:ジョン太郎

金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本 」がある。

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