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<質問>
アベノミクスを受けて、日本株が上昇し続けていますが、どの程度まで上昇すると考えられますか?目安になる水準を教えてください。
<回答>
ご質問、どうもありがとうございます。今回は、JPモルガン・アセット・マネジメントの鈴木英典がお答えします。
確かに、今回は、久しぶりにボリュームを伴った力の入った上昇ですね。まだまだ、構想段階ではありますが、アベノミクスという国内要因もありますし、また、海外の経済環境も米国中心に緩やかではあるものの回復が続いていますし、また、シェール革命のような構造的な変革も進んでいますので、大相場になる可能性もあながち否定できないでしょう。
そこで、まずは、区切りとなる過去の高値水準から振り返ってみましょう。1月18日の日経平均終値の10,913円は、すでに2011年の高値、10,857円を超えており、その前の高値となるとリーマンショック後の最高値、2010年4月の11,339円となります。さらに、遡ると2008年6月の14,489円、そして2007年7月のITバブル崩壊後の最高値、18,252円あたりが目処になる水準かと思います。
一方、大底からの上昇率で見てみますと、上昇局面の多くは30%未満で力尽きていることがわかります。具体的には、1950年以降の22回(※1)のうち6回がこのケースです。しかし、この30%の分かれ目を超えると大相場の割合が急激に高まります。30%台で終わったケースはたった1回で、40%台が5回、50%台が4回、60%以上が6回と多くはかなりの上昇相場になっています。そこで、気になるのが今回の上昇率ですが、1月18日終了時点でほぼ30%(※2)と、まさに、分岐点に差し掛かっていることになります。したがって、ここからしばらくの動きが非常に重要だともいえます。
また、割安度の観点からは、これまでの極度に割安な状況は一部修正されていますが、株価資産倍率で見ても、株価収益率で見ても、過去10年の平均に比べると30%程度は割安な水準(※3)という計算になります。つまり、まだまだ上昇の余地は残されているということでしょう。
さらに、海外の主要国との比較においては、リーマンショックの大底、2009年2月末から現在までの上昇率は米国とドイツが約100%、イギリスが60%(※4)なのに対して、日本はまだ40%程度に過ぎません。したがって、もし、日本株が他の主要国にキャッチアップすると考えれば、まだまだ上昇余地があるということになります。
このように、日本株の今後の上昇余地は見る角度によっても異なっており、その推計は簡単ではありませんが、共通していることは、程度の差こそあれ、日本株の上昇余地は、まだ、しっかり残されているということではないでしょうか?実際問題、今後の日本株の動向は、アベノミクスが、今後、どの程度迅速、かつ着実に実行され、どの程度効果を生み出すかに大きく依存していますが、少なくとも、その期待が継続している間は上昇圧力が続くものと考えています。
(※1)日経平均株価で5ヶ月以上継続し、15%以上上がった局面を算出
(※2)7月の最安値から計算すると29.6%、7月末から計算すると24.7%
(※3)TOPIXで算出
(※4)米国:S&P500、ドイツ:DAX、イギリス:FT、日本:日経平均
コラム執筆:
鈴木英典(すずき・ひでのり)
JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社
投資戦略ソリューション室長
JPモルガン・アセット・マネジメントのホームページにおいて、連載コラム「投資耳(ミミ)」https://www.jpmorganasset.co.jp/wps/portal/Column/Indexや「資産運用の井戸端トーク」https://www.jpmorganasset.co.jp/jpec/ja/promotion/column/index.htmlを執筆。
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