第296回 インフレ経済期突入!?私たちの生活はどう変わっていくのか

今知りたい!投資の悩みやお金に関する質問に資産運用の熟練講師がお応えします。

第296回 インフレ経済期突入!?私たちの生活はどう変わっていくのか

<質問>
デフレ経済からインフレ経済にシフトすると具体的に投資を含めて生活がどのように変わっていくのでしょうか。注意するべきポイントはありますか?

<回答>
インフレ率というのは言わば「お金の目減り率」です。インフレ率が2%ということは世の中のものの値段が全体的に1年で2%上がるということを意味し、100円のものは1年後には102円になるということです。例えばジュース1本が100円ならば、100円あればジュース1本が買えますが、この100円をジュースを買わずに貯金箱に入れてとっておいても、1年後にジュースの値段は2%上がって102円になっているためジュースを買えなくなります。100円というお金の価値は目減りし、ジュース1本が買えるお金から、ジュース1本が買えないお金に変わることになります。

貯金箱に入れておいたお金が増えることはありません。100円は100円のままです。また、銀行預金にしておいても、2%もの金利がつくことはありませんから102円までは増えません。2%のインフレ下でお金を目減りさせないためには、年率2%以上でお金を増やす必要があります。国の経済成長率と預金金利には深い関係があり、高い経済成長をしている国であれば預金金利が2%を超えることは珍しくありません。日本もかつて高成長を遂げていた時代には預金金利が高い状態が続きました。ところが低成長国になってしまった現在の日本では預金金利は非常に低くなっています。預金のようなリスクがなく、手数料もかからない金融商品で2%以上のリターンをあげることができるようになるためには、日本の経済成長率が高くなる必要があります。国の経済成長率というのは、【人口×1人あたりGDP】で計算されるGDPの成長率のことですから、人口が減っていく日本のGDPを増やすには1人あたりGDPつまり1人あたりの稼ぎを増やし、経済の効率を上げる必要があります。

もし、国が経済成長しないままの日本で今後2%以上のインフレが発生するならば、リスクのないまたは少ない金融商品のリターンはインフレ率を下回る可能性が高くなります。その場合、リスクを取り、手数料を払ってでもお金を積極的に運用しなくてはお金は目減りしていってしまいます。もちろんリスクをとってもお金が増えないこともありますし、減ってしまうこともありますが、銀行預金やタンス預金にしておけば目減りするのを待つだけです。何もしなければ減り、何かすれば減らない可能性がある、という時代になるということです。今よりももっと多くの人が投資や運用の知識を身につけ、インフレ率以上にお金を増やし、お金を目減りさせないための努力をすることが必要になると思います。

コラム執筆:ジョン太郎

金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本 」がある。

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