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<質問>
昨年末から株式市場の売買高が急増しているとの報道を聞きましたが、実際のところ、どの程度増加しているのでしょうか?また、それは株式相場にとって、プラスなのでしょうか?それとも、マイナスなのでしょうか?
<回答>
ご質問、どうもありがとうございます。今回は、JPモルガン・アセット・マネジメントの鈴木英典がお答えします。
ご質問のとおり、昨年末から、東京証券取引所の株式売買高は急増しています。1日あたり売買高の過去5年平均は概ね22億株程度ですが、昨年12月は26億株、今年1月は38億株、2月も38億株と非常に高い水準が続いています。つまり、この数ヶ月の株式売買高は、通常の約2倍に膨らんでいたということになります。
売買高が増えたということは、理屈からいえば、買いも、売りも増えたことになるので、騰落とはあまり関係がないように思われますが、実際は、非常に密接に関係しています。
近年、人間の行動の多くは、合理性よりも、感情に影響されると論じる行動経済学という学問への注目度が高まっていますが、株式の売買においても、投資家心理が大きく影響しています。つまり、下落相場では、売り手も、買い手も、活気を失い、売買高は低迷、逆に、上昇相場では、投資家全体が元気になり、利食いの売りも、新規の買いも、両方とも増え、売買高が急増するという傾向が見られます。今回は、まさに、このパターンです。
また、過去を振り返ってみても、確かに、売買高は、株価上昇のタイミングで急増しています。例えば、小泉首相の郵政解散で株価が急上昇した2005年秋。このとき、1日あたりの売買高はそれまでの15億株程度から30億株程度にまで急増しています。また、リーマン・ショック後の回復が始まった2009年4月から6月も1日あたりの売買高は25億株を超え、やはり、大活況でした。これ以外にも、1日あたりの売買高が25億株を越える月はありましたが、いずれもほぼ単月で、長続きしていません。その結果、上昇も一時的で、すぐに息切れになっています。このような観点から見ても、3ヵ月連続で25億株を越えた今回の大活況は、大相場の兆しとも考えられます。
ただし、過去の例では、取引高が減少に転じ、低迷し始めると、相場も上昇から下落に転じるという特徴が見られますので、どこまで現在の高水準の売買高が継続するかは、ぜひ、注意して見ていただきたい点です。
コラム執筆:
鈴木英典(すずき・ひでのり)
JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社
投資戦略ソリューション室長
JPモルガン・アセット・マネジメントのホームページにおいて、連載コラム「投資耳(ミミ)」https://www.jpmorganasset.co.jp/wps/portal/Column/Indexや「資産運用の井戸端トーク」https://www.jpmorganasset.co.jp/jpec/ja/promotion/column/index.htmlを執筆。
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