今知りたい!投資の悩みやお金に関する質問に資産運用の熟練講師がお応えします。
<質問>
米国のダウ・ジョーンズ株式指数が3月1日から14日まで10営業日連続で上昇しました。10営業日連続上昇は16年ぶりの珍事との報道もありありましたが、これはいい兆候なのでしょうか?それとも悪い兆候なのでしょうか?
<回答>
ご質問、どうもありがとうございます。今回は、JPモルガン・アセット・マネジメントの鈴木英典がお答えします。
3月5日、ダウ・ジョーンズ指数は約5年5ヶ月ぶりに史上最高値を更新しましたが、この3月5日を挟んで、ダウ指数は3月1日から14日までの10営業日連続で上昇しました。この10営業日連続上昇記録ですが、実は20世紀に入って以降、9回あります。さらに、11日連続が3回、12日連続が2回、そして最長の13日連続は1987年1月20日に記録しています。
さて、このような連続営業日上昇記録が出た後の相場展開を見てみますと、13営業日連続上昇の最長記録が出た1987年1月の約半年後の1987年10月19日に起きたのがブラック・マンデーです。ダウは、この日、1日で508ドル、約23%下落しました。そして、2番目に長い12営業日連続上昇記録が出た1929年7月8日の約3カ月後に起きたのが大恐慌の発端となった1929年10月24日のブラック・サーズデーです。この前後の約2カ月でダウは半値まで暴落しました。さらに、サブプライム・ショック前の2007年4月には若干途中で途切れたものの8営業日連続上昇と7営業日連続上昇が続いています。このように見てみると、連続上昇記録は市場の過熱の証で、近い将来の大暴落を予言する凶兆と思えてきますが、もう少しじっくりデータを見てみると、ちょっと違った様子が窺えます。
上記のとおり、10営業日以上の連続上昇記録は、20世紀以降で15回ありますが、その間の平均上昇率は7.2%です。ブラック・マンデー前の最長13日連続上昇記録のときの上昇率は11.0%、また、大恐慌前の12日連続記録のときの上昇率も9.5%と、平均を大幅に上回っています。しかしながら、今回の10営業日連続上昇では、上昇幅は480ドルを超えたものの、上昇率で見ると3.5%程度に過ぎません。これは平均の半分程度で、過去15回の連続上昇記録の中で断トツの最低です。つまり、連続上昇記録は大きく2グループに分けられるようで、一つは、上昇相場の終わりあたりで、市場の過熱感が高まり、ろうそくが消える直前に炎が一瞬明るさを増すが如く発生するもの、そして、もう一つは上昇相場の初期あるいは中盤の落ち着いた相場展開の中で安定的な上昇局面として発生するものです。このように整理してみると、今回の10営業日連続上昇は、後者のグループに入る公算が高いのではないでしょうか。
(データ出所:BloombergからのデータをもとにJPモルガン・アセット・マネジメント作成)
コラム執筆:
鈴木英典(すずき・ひでのり)
JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社
投資戦略ソリューション室長
JPモルガン・アセット・マネジメントのホームページにおいて、連載コラム「投資耳(ミミ)」https://www.jpmorganasset.co.jp/wps/portal/Column/Indexや「資産運用の井戸端トーク」https://www.jpmorganasset.co.jp/jpec/ja/promotion/column/index.htmlを執筆。
マネックスからのご留意事項
「お金の相談室」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。