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<質問>
昨年後半からの日本株上昇率が70%を超えてきましたので、そろそろ売却しようかと思っていますが、さらに上昇する可能性はあるのでしょうか?今後の見通しを教えてください。
<回答>
ご質問、どうもありがとうございます。今回は、JPモルガン・アセット・マネジメントの鈴木英典がお答えします。
実は平成バブルの崩壊以降、日本株が50%を超えて上昇する局面は今回で3回目です。1回目は、1998年10月からの局面、2回目は、2003年3月からの局面、そして、今回が3回目というわけです。
この3回の上昇局面の値動きですが、底値からの上昇率が50~60%に達するまでは比較的似たような動きをしています。しかしながら、1998年からの局面が60%を超えたところで失速、下落に転じたのに対して、2003年からの上昇局面は、ここを乗り越え、125%まで上昇が続きました。このように、結果に大きな違いが生じた一因はバリュエーションにあると考えられます。例えば、上昇率が約60%に達した際のバリュエーションは、1998年からの局面では、株価収益率:47.8倍、株価純資産倍率:2.38倍、配当利回り0.61%なのに対して、2003年からの局面は、株価収益率:16.4倍、株価純資産倍率:1.71倍、配当利回り1.07%となっており、同じ上昇率でも2003年からの局面の方が格段に割安だったことがわかります。つまり、1998年からの局面では、上昇率が60%を超えた時点で、株価が、すでに企業の経営状況に見合わない割高な水準にまで上昇してしまっていたのに対し、2003年からの局面では、株価上昇と企業の経営状況の改善度合いのバランスがとれていたため、割高にはならず、その後も長く上昇が続いたというわけです。
では、今回はどちらに近いのでしょうか?今回の局面で上昇率が約60%に到達した時点でのバリュエーションは、株価収益率:15.1倍、株価純資産倍率:1.31倍、配当利回り1.62%と、すべての数字が、1998年からの局面どころか、2003年からの局面よりも格段に割安な水準になっています。
つまり、上昇率だけで判断するのではなく、このようにバリュエーションを使って見ると、70%上昇したとはいうものの、今局面は、まだまだ、相対的には割安な水準にあると考えられます。したがって、他の政治、経済情勢に大きな変化が起きないようであれば、しばらくは、この上昇傾向が続く可能性があると考えられます。
コラム執筆:
鈴木英典(すずき・ひでのり)
JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社
投資戦略ソリューション室長
JPモルガン・アセット・マネジメントのホームページにおいて、連載コラム「投資耳(ミミ)」https://www.jpmorganasset.co.jp/wps/portal/Column/Indexや「資産運用の井戸端トーク」https://www.jpmorganasset.co.jp/jpec/ja/promotion/column/index.htmlを執筆。
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