第308回　アベノミクスの効果について【お金の相談室】

＜質問＞

アベノミクスの具体的な効果は、まずどういうところに現れてきていますか？
＜回答＞

アベノミクスと呼ばれる安倍政権の金融経済政策は「大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間の投資を引き出す成長戦略の『３本の矢』でデフレ脱却と過度な円高を是正していく」というものです。また、自民党公約にはこのようにあります（以下、自民党公約より抜粋）。

◆「日本経済再生本部」を新たな司令塔に「失われた国民所得50兆円奪還プロ ジェクト」を展開し、「縮小均衡の分配政策」から「成長による富の創出」 への転換を図ります。デフレ・円高からの脱却を最優先に、名目3％以上の経 済成長を達成します。
◆明確な「物価目標（2％）」を設定、その達成に向け、日銀法の改正も視野に、 政府・日銀の連携強化の仕組みを作り、大胆な金融緩和を行います。財務省 と日銀、さらに民間が参加する「官民協調外債ファンド」を創設し、基金が 外債を購入するなど様々な方策を検討します。
◆今後2～3年は国内景気の落ち込みと国際リスク（欧州危機、新興国の景気減 退）に対応できる、より弾力的な経済財政運営を推進します。新政権発足後、 速やかに「第1弾緊急経済対策」を断行し、本格的大型補正予算と新年度予算 とを合わせ、切れ目のない経済対策を実行します。

この中で具体的なプランが見えているのは「金融緩和を実施する」というものです。この金融緩和はまず円安と株高の大きな要因の１つとなっています。円安によって業績が回復する企業もあり、デフレ脱却による株式リターンの相対的な魅力向上もあり、さらには金融緩和による下支え効果もあり、株価が上昇しています。

円安は輸入物価を上昇させてインフレを起こし、また、金融緩和自体がインフレを起こし、日本円というお金の価値を下げます。1ドル80円から1ドル100円になれば、8,000円という日本円の価値は100ドルから80ドルに下がります。2％物価が上昇して8,000円のものが8,160円になれば、8,000円のままでは同じものを買えなくなります。

円安・株高は分かりやすく、各方面でよく報道されているので、既にその効果が現れてきていることは実感として湧くのではないかと思いますが、日本円で持っているお金の目減りについてはまだ実感の湧かない方が多いのではないでしょうか。しかし、日本円で持っているお金の価値は少しずつ下がっていき、ある程度下がったところで実感が湧くようになるはずです。今後も低成長下で預金金利が低位推移していく可能性が高いことを考えると、投資や運用の必要性、あるいはそのための知識向上の必要性は今後ますます高まっていくと考えられます。

円安・株高・日本円で持っているお金の目減り、を具体的な効果として挙げたいと思います。