第314回 日銀短観のポイントは?(JPモルガン・アセット・マネジメント)

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第314回 日銀短観のポイントは?(JPモルガン・アセット・マネジメント)

<質問>

7月1日に発表された日銀短観は、新聞等の報道によれば、かなり好感できる内容だったようですが、具体的に、どのような点が評価できるのでしょう?また、懸念される点があるとすると、どのような点でしょうか?

<回答>

ご質問、どうもありがとうございます。今回はJPモルガン・アセット・マネジメントの鈴木英典がお答えします。ご指摘の通り、確かに想定よりも良好な内容だったと思われます。

まず、最も評価できる点は、大企業の業況判断の大幅な改善です。大企業製造業の業況判断(業況判断は、「良い」(回答社数構成比)-「悪い」(回答社数構成比))は、3月の-8から6月は+4に12ポイントも上昇、3月時点での先行きの-1をも大幅に上回る改善となりました。さらに、9月に向けての先行きも+10への上昇が見込まれています。同様に、大企業非製造業の業況も大幅に改善、3月の+6から+12まで6ポイントも上昇しました。やはり、3月時点での先行き+9をしっかり上回る改善で、これらの数値を見ると大企業の経営状況は、想定を上回るスピードで改善していることがわかります。東証一部時価総額の半分程度を占める製造業の大幅改善は、今後の株式市場の方向性を占う上でも非常に重要です。

また、細かい点に目を移しても、大企業においては、売上・収益計画や設備投資計画が全般的に上方修正されていること、販売価格が下げ止まりつつあること、また、雇用人員の余剰感も薄れつつあること等、全般的に経営状況がかなり改善していることが窺えます。特に、事業計画の前提となっている2013年度の想定為替レートが91.20円/ドルとなっていることから、今後も、現状の100円程度のドル円為替レートが継続するだけで、さらなる業況の改善が見込めることは非常に重要な点です。

一方、やや心配なのが、中小企業です。改善はしているものの、大企業に比べるとペースが遅く、中小企業製造業の業況感は6月時点でも、まだ、-14です。しかも、中小企業非製造業の9月に向けての先行きは、6月と同じ-4で、改善がストップしてしまうことを示唆しています。売上・収益計画の上方修正も非常に低い水準で、2013年度の設備投資計画も上方修正されたとはいえ、まだ、前年度比でマイナスです。

景気回復の裾野を広げるという意味においては、大企業の業況感の回復が、どの程度のスピードで中小企業に波及するかは非常に重要なポイントです。しかしながら、株式市場への影響はという意味では大企業が決定的に重要であるため、今後も当面は、大企業の経営状況の大幅な改善は、強力な株価のサポート要因となるため、今後も、日本株の堅調な展開が期待できると思われます。

コラム執筆:
鈴木英典(すずき・ひでのり)

JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社

投資戦略ソリューション室長

JPモルガン・アセット・マネジメントのホームページにおいて、連載コラム「投資耳(ミミ)」https://www.jpmorganasset.co.jp/wps/portal/Column/Indexや「資産運用の井戸端トーク」https://www.jpmorganasset.co.jp/jpec/ja/promotion/column/index.htmlを執筆。

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