第319回 金投資の活用方法は?

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第319回 金投資の活用方法は?

<質問>

マネックス証券でも金地金の取扱いが開始されました。金投資の活用方法、メリットや注意する点を教えていただけますか。

<回答>

金というのはいくつかの性格を持っています。まずは金属としての性格で金はいくつかの優れた特徴を持つ金属で、工業用・宝飾用に広く使われる金属です。この目的で買われるのを実需と呼びます。そして投資・投機の対象としての性格も持ちます。最後に通貨としての性格も持ちます。

まず1番目の、金属としての性格ですが、実需と呼ばれる金属としての金の需要は金の価格を下支えする大きな要因となりますが、価格が急激に上昇し過ぎると価格が高すぎて使えなくなってしまい、実需が減少する傾向があります。

2番目の投資・投機の対象としての性格ですが、最大の注意点は株式・債券・短期金融商品・賃貸用不動産などといった投機・投資の対象と異なり、インカムゲインが全く無いという点です。これらの一般的な投資対象・投機対象というのはそれ自体が生み出すインカムゲインが存在するものが多く、そのインカムゲインが価格変動によるリターン(キャピタルゲイン・キャピタルロス)を下支えしてくれます。長期投資の場合にはこのインカムゲインがリターンの大きな部分を占める傾向があり、こうしたインカムゲインが全くないというのは、特に長期投資をする上で大きなマイナスポイントとなります。金投資のリターンというのは価格変動によるキャピタルゲイン・キャピタルロスが全てで、長い時間をかけることでアドバンテージがある一般的な投資とこの点で大きく異なることに注意が必要です。

一方で、他の一般的な資産との低相関性も認められ、この点で分散投資の1パーツとしての効果を期待することもできますし、3番目の性格とも関わってきますが、無国籍の投資資産であるという点も他の一般的な投資資産には見られない特徴です。これらは金投資のメリットと考えて良いと思います。

3番目の通貨としての特徴はややイメージしにくいかもしれません。金は実際に通貨として使われることはありませんが、その特徴には通貨と共通した部分も少なくありません。典型的なのはドルの鏡と言われるような傾向です。米ドルの価値が上昇するような局面では金価格は他の米ドル以外の通貨と同様に下がることが多く、逆に米ドルの価値が下がる局面では他の米ドル以外の通貨と一緒に上がることが多い傾向があります。また、例えば米ドルの金利がかなりの低水準まで低下すると、「無利息の金」に交換するデメリットが少なくなることで買われたり、米ドルの金利が上昇する時にその逆が起こったりします。日米欧の政府財政が大幅に悪化し、ソブリンリスクが市場で懸念されるような局面ではどの政府のリスクからも切り離された、どの国のカントリーリスクも負わない特徴から金が買われる場面もありました。これらの特徴は金が一種の通貨としての性格を持っているということを示すものだと思います。

一般的になじみのある投資資産とは、こういった大きく異なる特徴を持つことを認識して活用することが大切ではないでしょうか。

コラム執筆:ジョン太郎

金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本」がある。

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