第320回 日本株は、まだ、上がるか?日本株の上昇局面の比較 (JPモルガン・アセット・マネジメント)

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第320回 日本株は、まだ、上がるか?日本株の上昇局面の比較 (JPモルガン・アセット・マネジメント)

<質問>

第1四半期の決算もほぼ出揃い、今期はかなりの増益が期待ができると思うのですが、実際の株式市場の反応はあまり芳しいものではありません。そのあたりの理由と、今後の見通しを教えてください。

<回答>

ご質問、どうもありがとうございます。今回はJPモルガン・アセット・マネジメントの鈴木英典がお答えします。

ご質問の通り、好決算にも関わらず、日経平均は、現在までのところ5月22日につけた15,627円26銭を超えられず、レンジ圏に留まっています。ある程度の好決算は織り込み済みという要因もあろうかと思いますが、大きく分けて2つの理由があると思われます。1つは海外要因、そして、もう1つは国内要因です。

まず、海外要因の方ですが、日本企業は好決算だったものの、海外に目を向けると日本企業への影響が無視できない不安材料がいくつかあります。例えば、シャドーバンキングという、ちょっと不気味な言葉が出てきた中国経済の成長減速が挙げられます。また、量的緩和政策の縮小を模索し始めた米国の中央銀行の動きや未だに力強さが出てこない米国経済も気になるところです。

一方、国内に目を転じると、円安の勢いがやや低下してきたことや、昨年来の株価の上昇幅がかなりの水準に達してきたことに対する警戒感も出てきています。例えば、平成バブルの崩壊以降、日経平均が50%以上上昇した局面(注1)は今回で5回目ですが、過去4回はいずれも50~60%程度の水準でピークを打ち、下落局面入りしています。そのため、上昇率60%程度のところで横ばい状態になっている今の状況が気になるのも無理はありませんが、これまでと今回で決定的に違うことがあります。それがバリュエーション、つまり、割安度です。例えば、過去4回の上昇局面が最高値を付けて終了した時点の株価収益率(注2)が、42倍(1996年6月)、43倍(2000年3月)、18倍(2004年6月、2007年6月)だったのに対して、今回、2013年7月末時点での株価収益率は13倍と過去に比べて、かなり低い水準に留まっています。これは、株価は60%も上昇したものの、企業利益の改善を伴っているため、まだ、伸び代がしっかり残されていることを示唆しています。

したがって、夏休みが終わり、消費税の引き上げを睨んでの追加的な成長戦略が具体化してくれば、再び、上昇軌道に入る可能性も十分あると考えられます。ちょうど、2003年からの上昇が2004年の半ばに小休止した後、2005年に入って再び力強く上昇し始めたことが思い出されます。いずれにしても、次の成長戦略に期待が集まります。


(注1)最高値から10%以上の下落、あるいは10カ月の最高値更新なし上昇局面は終了と定義

(注2)TOPIX予想ベース

コラム執筆:
鈴木英典(すずき・ひでのり)

JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社

投資戦略ソリューション室長

JPモルガン・アセット・マネジメントのホームページにおいて、連載コラム「投資耳(ミミ)」https://www.jpmorganasset.co.jp/wps/portal/Column/Indexや「資産運用の井戸端トーク」https://www.jpmorganasset.co.jp/jpec/ja/promotion/column/index.htmlを執筆。

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