第322回 オリンピック効果で市場はどう変化するか?

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第322回 オリンピック効果で市場はどう変化するか?

<質問>

オリンピック開催地が決定した後の効果・影響などについて教えてください。
<回答>

2020年開催の夏季オリンピック・パラリンピックの開催都市が9月7日に決定・発表されます。最終候補都市と残っているのは、日本の東京、トルコのイスタンブール、スペインのマドリードですが、果たして結果は・・・

夏季オリンピック・パラリンピックの開催が決定した都市・国では、開催施設・関連施設の建設やインフラ整備、観光客の増加、消費の増加、企業活動の活発化などの経済効果が期待されます。ただ、個人的には過去の例を見ると、毎回、経済効果がやや過剰に期待されている印象があります。経済効果はもちろんありますが、マスコミの報道等の影響もあってか、あまりにも現実的離れした経済効果を期待する声が多くなりがちなので、そこは少し控え目に見るとちょうどよいのではないでしょうか。もちろん、開催の意義や重要性は経済効果や数字で表されるものだけではありません。国のイメージ向上や国際社会での認知度の向上、国民の士気高揚なども大きな意義を持つと思います。

さて、その経済効果の金額は開催する都市・国によって大きく違ってきます。インフラ整備がある程度進んでいる国での開催に比べて、インフラ整備があまり進んでいない国ではその額は大きなものになる傾向があります。また、その金額が持つインパクトというのは経済規模との比較で大きな差が出てきます。一言で5兆円の経済効果と言っても、100兆円の経済規模の国と500兆円の経済規模の国ではそのインパクトは全く違います。

注目されやすい株式市場について言えば、近年の開催国の開催決定後から開催までのその国の株式市場のパフォーマンスを見てみると概ね良好な結果が見られます。ただ、毎度オリンピック開催決定後によく聞かれる「この国はオリンピック開催までは大丈夫」とか「オリンピックの開催までは上昇し続けるだろう」とか「とりあえずオリンピックまでは安泰」という話に疑いもなく身を寄せられるほど、確実性の高いものではないと思います。次回開催のブラジルの株式市場では少なくともこれまで軟調な展開が続いています。

オリンピック開催決定による影響は少なからずあるが、巷で騒がれるほどではないので期待は少し控え目に、くらいに考えておくと良いのではないでしょうか。


コラム執筆:ジョン太郎

金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本」がある。

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