第323回 地価上昇からの援護射撃が期待される日本株 (JPモルガン・アセット・マネジメント)

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第323回 地価上昇からの援護射撃が期待される日本株 (JPモルガン・アセット・マネジメント)

<質問>

5月22日に日経平均株価が今年の最高値15,627円26銭をつけてから早くも4ヵ月が経とうとしていますが、相場は依然はっきりしない状況が続いています。三角持合いを形成しているとの声も聞こえてきますが、上放れ、下放れ、どちらの可能性が高いと考えるべきなのでしょうか?

<回答>

ご質問いただき、どうもありがとうございます。今回はJPモルガン・アセット・マネジメントの鈴木英典がお答えします。

相場は上がったり下がったりの方向感に欠ける展開が続いていますが、この間、日本経済の回復基調が、一層強まっていることを示唆する経済指標が数多く発表されています。例えば、3四半期連続でプラスとなった2013年第2四半期の国内総生産(改定値)。実質で前期比0.9%増、年率換算では3.8%増となり、2四半期連続で年率3%を超える高い成長が確認されました。そして、7月の全国消費者物価指数は「総合」と「生鮮食品を除く総合」がいずれも前年同月比0.7%上昇と上げ幅を拡大し、デフレ脱却の兆しが、より明確に表れ始めています。また、完全失業率も3.8%と1年前の4.3%に比較して、0.5%ポイントも低下しています。さらに、4~6月の法人企業統計では、長らくマイナス圏にあった設備投資が、水準はまだ低いながらもプラスに転じました。

株価への直接的なインパクトは限定的だったものの、このように景気回復の基盤がより強固になってきていることを示す指標は相次いでおり、いずれどこかの時点で株価への強力な援護射撃として顕在化するものと思われます。そんな中で、地価の反転を、より明確に裏付ける統計が出てきました。それが8月28日に国交省から発表された、2013年第2四半期の地価動向報告(注1)です。この調査結果を見ると、全調査地点(注2)の実に66%の地点で地価が上昇(下落は7%)しています。地域別に見ても、名古屋圏の100%上昇を筆頭に東京圏69%上昇(下落は6%)、大阪圏64%上昇(下落は0%)、地方圏45%上昇(下落は19%)と、やや、地方圏が出遅れているものの、地価が上昇した地点の割合が着実に高まっています。

実は、この地価、過去データを見ると、日本株と密接に関連していることがわかります。簡単に言うと、地価が上昇傾向にある期間では、日本株の上昇局面が、より長く、より大きくなる傾向が見られます。つまり、「景気回復の基調が強まれば地価も上昇、そして株価の上昇も長続きする一方、景気回復が不安定だと、地価も上昇せず、その結果、例え、株価が上昇しても一時的な現象で終わってしまいやすい」という関連でしょう。したがって、地価の上昇がより鮮明になったということは、今回の日本株上昇局面が長期間継続する可能性が高まった、つまり、三角持合いは上放れする可能性が高まったと考えられるのではないでしょうか?実際、2020年のオリンピック東京開催が決まった前後で、既に、三角持合いが上放れしたとの意見も聞かれます。さて、この見方が当たっているかどうか?今後の相場展開に注目しましょう。

(注1)第23回主要都市の高度利用地地価動向報告 2013年第2四半期
(注2)東京圏65地点、大阪圏39地点、名古屋圏14地点、地方圏32地点の合計150地点

コラム執筆:
鈴木英典(すずき・ひでのり)

JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社

投資戦略ソリューション室長

JPモルガン・アセット・マネジメントのホームページにおいて、連載コラム「投資耳(ミミ)」https://www.jpmorganasset.co.jp/wps/portal/Column/Indexや「資産運用の井戸端トーク」https://www.jpmorganasset.co.jp/jpec/ja/promotion/column/index.htmlを執筆。

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