第327回 消費税増税決定!影響は?

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第327回 消費税増税決定!影響は?

<質問>

消費税増税されるか決定されました。増税の影響について教えてください。
<回答>

まず、一番わかりやすいところでは家計の消費行動に変化が出ます。2014年4月の8%への増税前に駆け込み需要があり、その後4月以降需要が落ち込むことが考えられます。今の予定ですと2015年10月に10%への更なる増税が予定されていますので、2015年の10月前にはまた駆け込み需要が発生し、2015年以降に需要が落ち込む、これはイメージしやすいと思います。アメリカのGDPに占める民間消費の割合が7割と高いことはよく言われますが、日本も6割を超える国です。こうした消費税増税による消費の落ち込みは少なからずGDPを押し下げると考えられます。

そして消費税の増税は実質可処分所得を低下させます。実質可処分所得というのは、家計が稼いだお金のうち実際に消費と貯蓄にまわせるお金の合計です。実質可処分所得が低下するということは、収入が変わらないならば、貯蓄を減らさなければ現在と同じ額の消費をすることができない、消費を減らさなければ現在と同じ額の貯蓄をすることができない、ことを意味します。

人生で一番高い買い物、住宅購入にも同様の影響が出ますが今回は住宅ローン減税の影響もあり、あまり大きなインパクトは出ないのではないかと予想する声が大きいようです。1989年の消費税導入時や1997年の消費税増税時には、大幅に需要が減少しました(駆け込みはあくまで買う人の前倒し)が、今回は97年時よりも規模の大きなローン減税が用意されています。ただ、GDPに占める割合でいきますと、民間消費が60%強で民間住宅投資は3%以下です。

一方で、当然ながら消費税の導入は政府の収入(歳入)を増やします。政府の支出(歳出)が変わらなければ政府の財政収支は改善します。

あとは、消費税を徴収し、納税する企業の負担も忘れてはいけないですね。もちろん、企業の消費・投資行動にも家計と同じような影響が出ますがGDPに占めるインパクトはさほど大きくなく、経済に与える影響ということで言えば、やはり個人消費の落ち込みが最大のインパクトを与えることになると考えられます。

コラム執筆:ジョン太郎

金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本」がある。

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