第329回 「NISA」についてここでもう一度おさらい

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第329回 「NISA」についてここでもう一度おさらい


<質問>

「NISA」をよく耳にするようになりました。もう一度、制度のポイントと注意点、有効な使い方について教えていただけますでしょうか。

<回答>

NISA口座について改めてお話しさせていただきます。制度のポイントは、①口座内で運用した利益に対する課税を5年間先送りできる(5年後の時価で100万円まで繰り越し可能)、②1人1口座まで、③1人年間100万円まで最大500万円まで、④口座内で投資しているものは途中で売却したり解約することも可能、ということです。注意点としては、①途中で解約や売却をした分や分配金を受け取った分の投資枠は再利用できない(つまり、資産配分の見直しができない)、②今の制度だと損をした状態で非課税期間を終了すると損をした値段で課税口座に移管されてしまう(例:100万円を投資→80万円で非課税期間終了し課税口座に移管→80万円で投資開始したものとみなされる→90万円で課税口座内で売却すると80万円で買ったものを90万円で売却したものとして10万円が課税されてしまう→実際には100万円で買ったものを90万円で売却しているので損をしているのに課税される。)、③利用できるのは20歳以上、④他の口座との損益通算はできない、といったところでしょうか。

以上を踏まえて、有効な使い方を考えてみますと、まず、NISA口座のメリットが最大になるのは投資利益が最大となる場合です。利益の額が大きいほど課税額が大きくなるため、非課税口座のNISAを活用するメリットが大きくなります。もちろん将来のリターンを言い当てることなど不可能ですから、ご自分の考える非課税期間終了時の期待リターンが最も高いものがNISA口座を活用して投資するメリットの大きいものということになるでしょう。あまりにも期待リターンが低いものにNISA口座を使って投資をしても、期待通りのリターンが得られたところでそのリターンに対する課税額は小さいわけですから、その小さな課税額が非課税になることにあまりメリットはありません。

逆に非課税期間終了時のリターンがマイナスになってしまうような場合には先ほどの注意点のところでもお話ししましたが、NISA口座を使うメリットがないどころか、損失が出たにもかかわらず課税されるおそれがあるデメリットがあります。大きなリターンが期待できるものの、リターンのブレ幅が大きくて(リスクが高くて)非課税期間終了後に損失になっている可能性も高いというものは、NISA口座で投資をするメリットが本当に出るのか疑問です。

以上から、期待リターンが高く、リスクが低い(リターンのブレ幅が小さい)、ものがNISA口座を活用するためには良いのではないかと私は考えます。投資の世界はハイリスクハイリターンが原則ですが、それは単一の資産の場合です。値動きの異なる複数の資産を組み合わせて運用することでより低いリスクでより高いリターンを実現することも可能です。もちろんご自分の考えに基づき組み合わせても、運用会社が組み合わせるバランスファンドを活用してもいいと思いますが、より高いリターンをより低いリスクで(非課税期間終了時にマイナスとならないように)実現できるとご自分がお考えになるものに投資をすれば良いのではないでしょうか。

コラム執筆:ジョン太郎

金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本」がある。

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