第332回 新たな株上昇トレンドは7月に始まっていた!! (JPモルガン・アセット・マネジメント)

今知りたい!投資の悩みやお金に関する質問に資産運用の熟練講師がお応えします。

第332回 新たな株上昇トレンドは7月に始まっていた!! (JPモルガン・アセット・マネジメント)

<質問>

株価の世界的な上昇基調が再開したとの見方が増えているようです。11月8日に発表された10月の米国雇用統計で雇用者数が予想以上に増加していたということが材料視されているようですが、この流れで、日本株も長らく続いているレンジを上抜けする可能性が高まったと考えていいのでしょうか?

<回答>

ご質問いただき、誠にありがとうございます。今回はJPモルガン・アセット・マネジメントの鈴木英典がお答えします。
10月の米国雇用統計発表前と比較(注1)すると、日米の株価(注2)は、ともに2%程度値上がりしています。このような動きを見ると、確かに、米国雇用統計を契機に株価が新たな上昇トレンドに入ったように見えますが、もう少し長く株価の動きを遡ってみますと、ちょっと風景が見えてきます。

今年前半、つまり、年初から6月末までの世界各国の株価の騰落率(注3)を見ますと、断トツ一位は33%上昇の日本で、フィリピン、米国、スイスが10%台前半の上昇率で日本に続いています。45ヵ国中株価が上昇した国は22ヵ国とほぼ半分、内訳は先進国が16ヵ国と上昇国の大半を占めています。逆に株価が下落した残りの半分の国々を見てみますと、最下位は30%下落のペルーで、-20%台のチェコ、そして、-10%台のコロンビア、エジプト、中国、ブラジル、ポーランド、イタリアが続きます。下落した23ヵ国中新興国は16ヵ国と大半を占めており、残りの先進国7ヵ国の中心はイタリア、スぺイン、ポルトガル等、深刻な債務問題を抱えた南欧です。つまり、年前半の株式市場をリードしたのは、日本、米国を中心とするユーロ圏以外の先進国で、逆に、足を引っ張ったのが新興国と南欧諸国という構図になります。
しかしながら、7月以降、この状況は劇変しています。6月末から10月末の4ヵ月間で株価が上昇した国は45ヵ国中、実に41ヵ国にも及んでいます。さらに筆頭はギリシャの49%上昇で、31%上昇のスペイン、29%上昇のフィンランド、27%上昇のイタリアと欧州諸国が続きます。同時に、新興国の上位への躍進も目覚ましく、エジプト、チェコ、ロシア、ブラジル、中国、南アフリカ、韓国が10%を超える上昇を達成しています。その結果、上昇率上位20ヵ国はすべて欧州諸国と新興国で、ユーロ圏以外の先進国は1ヵ国も入っていません。
このように見ると、株式市場の潮目が大きく変わったのは、先週の米雇用統計ではなく、6月末から7月初めにかけて既に新たな上昇トレンドが始まっていたと考えるのが自然ではないでしょうか?そして、その要因は、債務問題に苦しんでいた南欧諸国と、米国金融緩和の縮小懸念に怯えていた新興国の立ち直りということになります。
さて、ご質問に対するお答えですが、このようなシナリオに基づくと、諸外国の動きに刺激されて、日本の株価も5月以来続いているレンジ圏を上抜けする可能性が高まっていると考えられるのではないでしょうか?

(注1)前日に当たる11月7日の終値から11月13日の終値までの騰落率
(注2)日本:日経平均、米国:SP500
(注3)MSCIの現地通貨建て各国指数

コラム執筆:
鈴木英典(すずき・ひでのり)

JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社

投資戦略ソリューション室長

JPモルガン・アセット・マネジメントのホームページにおいて、連載コラム「投資耳(ミミ)」https://www.jpmorganasset.co.jp/wps/portal/Column/Indexや「資産運用の井戸端トーク」https://www.jpmorganasset.co.jp/jpec/ja/promotion/column/index.htmlを執筆。

マネックスからのご留意事項

「お金の相談室」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

マネックスメール登録・解除

コラム一覧