第333回　えっ！2014年から税率が変わる！？変更内容と注意点

＜質問＞

2014年から税率が変わるとのこと。変更についての解説と注意点を教えていただけますでしょうか。

＜回答＞

来年2014年と約2年後の2016年に分けて上場株式や投資信託などに投資した利益に対する課税が大きく変わります。2016年のほうは金融所得課税の一本化、これまで複雑なケース分けのあったものが1本化されるのがメインですが、来年2014年の変更は税率が上がるという投資家負担を大きくする変更となります。

上場株式や投資信託などに投資した利益に対する税金は2013年1月から復興特別所得税が加算されて10.147%となりましたが、この税率が来年から20.315％に上がります。200万円で買った株が現在300万円に値上がりしていたとすると、現在の税率のうちに売却をすれば100万円の利益に対して10万1,470円の税金がかかりますが、税率が上がったあとに同じ価格で売却すると100万円の利益に対して20.315％、つまり20万3,150円の税金がかかることになります。

このため、税金が上がる前に一旦売却して安い税率のうちにこれまでの値上がり分に対する税金を払ってしまって、再度現在の価格で買い戻す「益出し」を検討している方も多いと思います。この益出しを行う場合の注意点としては

①売却と買戻しの間の時間差で売却価格よりも高い値段で買い戻すことになってしまう可能性もある点、

②売却しなければ先延ばしにできていた税金を払うことになる点、に注意が必要です。

②についてですが、例えば1株10万円で10株買った株（100万円投資）が、今1株20万円になっていたとします。ここで10株を売却すると100万円の利益が実現して10万1,470円の税金がかかり、189万8,530円を手にすることになります。すぐに同じ価格で買付をすることができたとして、端株は買わずに単元株だけを買ったとすると9株180万円分を買い戻すことになります。この株がこの先長い時間をかけて1株100万円まで値上がりしたとします。すると180万円の投資で900万円の売却代金を手にして720万円の利益、税率が変わらず20.315％ならば720万円×20.315％＝146万2,680円の税金を払って753万7,320円を手にすることになります。一方、今回益出しをせずに株価が100万円になるまで持っていた場合には10株×100万円＝1,000万円で900万円の利益に対して20.315％の税金で182万8,350円が引かれて817万1,650円を手にすることになります。益出しをした場合の支払税合計は10万1,470円+146万2,680円＝156万4,150円となり、益出しをしなかった場合の税金182万8,350円よりも少なくなりますが、投資成果としては益出しをしなかった場合のほうが大きくなります。もちろんこうならないケースもありますが、こうなるケースもあるということは認識しておくべきです。

また、投資信託の分配金を受け取った場合も同様です。投資信託の分配金受取は解約と同義です。分配金を受け取るたびに一部解約をして益出しをしているようなものですから、利益が出ている場合には税金が差し引かれます。この税率も同様に10.147%から20.315％に上がりますのでこの点も認識しておく必要があります。

コラム執筆：ジョン太郎

金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本」がある。