第340回 3月に発表された公示価格。どう見ればいいの?

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第340回 3月に発表された公示価格。どう見ればいいの?

<質問>

3月に発表のあった公示価格について、ポイントを教えて下さい。

<回答>

3月18日に国土交通省は1月1日時点の全国の公示地価を発表しました。大きなポイントとしては

◆全国的には6年連続でマイナス

◆商業地は全国的に下げ幅縮小(上昇したのは宮城、埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、滋賀、京都、大阪、沖縄だけ)

◆住宅地は、宮城、福島、埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、沖縄、を除く全ての道府県で下落。

◆東京、大阪、名古屋の三大都市圏の平均で見ると商業地・住宅地ともに前年比上昇

の4点です。6年間下がり続けてきた日本の土地の値段が、一部で回復したという結果になっています。もちろん6年前の水準を回復したわけではありません。あくまでも全国的な下落が続いていたのが、引き続き全体は下落しているものの、一部で上昇に転じた、ということです。

日本がおし進めているインフレ政策のもとでは、不動産価格の上昇が期待されるところですが、買い手と借り手あってのことということを念頭においておくべきかと思います。インフレによるお金の価値の目減りにより実物資産である不動産の需要は高まります。これは平たく言えばお金を不動産に換えるニーズが増えるということです。一方で、その前提となるのは不動産価格の上昇と不動産が生み出す利益(家賃収入など)がインフレを上回る、ということです。


日本は深刻な少子高齢化と人口減少の一途を辿っている国です。世帯当たりの平均所得も年々低下しています。金融政策と円安によってインフレ率を上昇させるだけでは、住宅賃料を引き上げようにも借り手の家賃支払い能力がついていきません。円安によってガソリンや灯油の値段が上昇しても、買い手の購買力がついていかずに需要が減ってしまうのと同じです。オフィスについても、オフィス需要が増えるためには起業が活発になるとか、企業がより広いスペースを求めるようになったりそのスペースにお金を出せるようになるとか、外国企業の日本進出が増えるとか、といったことがなくては国内で支払われるオフィス賃料はなかなか増えていきません。逆にこうした点がクリアされていけば、インフレによる不動産需要の増加に加えて、不動産のファンダメンタルズ要因も加わり、大きな価格上昇も期待できるということになります。

コラム執筆:ジョン太郎

金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本」がある。

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