第351回 40代会社員(男性)がこの時期にできる投資準備は?

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第351回 40代会社員(男性)がこの時期にできる投資準備は?

<質問>

2014年後半戦。今からNISAを始めたいと思いますが、残り半年で100万円の非課税枠を使ってポートフォリオを組むときのアドバイスをください。

<回答>

NISAにはいくつかの注意点があります。①途中で換金した分や分配金を受け取った分の投資枠は再利用できない(=資産配分の見直しができない)、②今の制度だと損をした状態で非課税期間を終了すると損をした値段で課税口座に移管されてしまう(例:100万円を投資→70万円で非課税期間終了し課税口座に移管→70万円で投資開始したものとみなされる→80万円で課税口座内で売却すると、70万円で買ったものを80万円で売却したものとして10万円が利益として課税されてしまう→実際には100万円で買ったものを80万円で売却しているので20万円の損をしているのに課税されてしまう。)、③損益通算ができない、といったものが主なものです。


非課税口座であるNISA口座のメリットが最大になるのはもちろん投資利益が最大となり、納税しなくてはならない額が最大となる場合です。しかし当然ながら将来のリターンは分からないわけですから、最も期待リターンが高いものが一義的にはNISA口座を活用して投資するメリットの大きいものということになるでしょう。期待リターンが小さいものであれば、そのリターンに対する課税額も小さいわけですから、その小さな課税額が非課税になることにあまりメリットはありません。また、非課税期間終了時のリターンがマイナスになってしまうと、本来納税しなくても良いはずなのに納税することになってしまうという大きなデメリットがありますから、いくら期待リターンが大きくても、マイナスのリターンになる可能性の高いものは避けるべきでしょう。

では、具体的にどう考えていったらいいのか、分かりやすく海外の外貨建ての債券に投資するファンドを例にしてお話ししてみたいと思います。たとえば5%の最終利回りの米ドル建ての債券に投資しているファンドで信託報酬が1%というもので考えてみましょう。現在$1=100円で$100の債券に投資したとすると10,000円でスタートすることになります。もし、非課税期間終了時の5年後に債券価格が$100のままであれば、ここに5%の分配金から信託報酬1%を差し引いた4%の利息$4の5年分で$20が加わり(※)、$120の現地通貨ベースの資産を持っていることになります。すると、$建て資産を円換算するドル円レートが現在の$1=100円から10%円高の$1=90円になっていたとしても、$120×90円=10,800円となり、為替で1割負けていてもリターンはプラスとなります。もし、為替の負け分が2割であってもプラスになるようにしたいなら、もう少し高い利回りの債券に投資する必要があります。他の通貨も同様です。その通貨に投資した場合に、自分だったらどのくらいの円高を覚悟するか、そのリスクをとるのに見合う利回りの債券かどうか、を検討すると整理しやすくなります。また、ハイイールド債などで債券利回りが上がって債券価格が下落するリスクが大きいものであれば、債券価格が$100の債券が$90とか$80になっていたとしてもプラスのリターンとなるだろうか、という具合に考えてみると良いと思います。株式など他の資産でもこの考え方は応用できますので是非ためしてみてください。

今年の非課税枠が使えるのは今年のうちだけです。注意点としては、考え込みすぎて、気付いたら年が明けてしまって2014年分の非課税枠がなくなってしまっていた、なんてことがないように、ということでしょうか。

※信託報酬は円換算された基準価額に対してかかるため、実際の計算とは異なります。あくまでも理解しやすくするために簡易化したものです。


コラム執筆:ジョン太郎

金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本」がある。

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