第357回 売買高、信用残高。株価見通しにどう活かす?

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第357回 売買高、信用残高。株価見通しにどう活かす?

<質問>

売買高、信用残高、というデータは、株価見通しの際にどのように関連させて読んだら良いのでしょうか。


<回答>

まず、売買高についてですが、株式が売買された数量、取引が成立した数量のことを指します。出来高も同様の意味です。たとえばある値段でのA社の株の1,000株の売りと1,000株の買いが取引として成立した場合、これで売買高1,000株がカウントされ、さらに別の価格で5,000株の売りと5,000株の買いが取引として成立した場合にはさらに5,000株がカウントされて合計6,000株の売買高となります。さらにこの売買高に株価を掛けて、いくら分の取引が成立したかを示すのが売買代金です。どのくらいの規模の取引が成立したのかを把握するのには売買高よりも売買代金のほうがイメージしやすいことから、売買代金のほうが数字としてはよく使われるかもしれません。いずれにせよ、どちらもどのくらいの取引が成立しているかを示す指標で、多いほどたくさん売買されているということになり、流動性が高いということになります。反対に売買が少なく、流動性が低いものは、買う人が少なすぎて売りたいときに売れなかったり、希望する価格よりも大幅に下げた価格でないと売ることができなかったりします。


また、売買高や売買代金が少なく、流動性の低い銘柄はまとまった資金の出入りで価格が大きく変動します。100億円の売買代金がある銘柄であれば1,000万円くらいのまとまった買いがあっても吸収して、さほど買い上がりせずに済みますが、1,000万円しか売買代金のない銘柄に1,000万円の買いが入れば売り物を安い価格のところからどんどん上のほうまで買っていくことになり、価格は大きく上がります。もちろん逆もしかりで、1,000万円しか売買代金の銘柄に1,000万円の売りが入れば価格は大きく下がります。これは個別銘柄の売買だけでなく、投資信託などを通じて投資する時にも注意しなくてはならないポイントです。投資信託のファンドのサイズはとかくあまりにファンドサイズが小さいものはよくないとよく敬遠されますが、大きすぎるのも危険です。市場全体で1日500億円程度しか売買の成立しない市場で1兆円のファンドを運用したらどうなるでしょう。ファンドに5%の解約が来ても500億円の売り注文を出さなくてはならなくなってしまいます。


もう1つの信用残高というのは信用取引で買っていてまだ売り決済の済んでいないもの、信用取引で売ってまだ買い決済の済んでいないものの残高のことを指します。信用取引である銘柄を買った場合、約束の期限までに反対売買つまりその銘柄を売って返すか、現引きしなくてはなりません。つまり、信用買いの残高は将来の売りが予定されている量、ということになり、日々の取引量に比べてこの将来の売りが予定されている量があまりに大きければ価格の上昇を抑える要因となります。つまり、信用残高というのは信用取引を行う人にとってだけ関係のある話ではなく、その銘柄を取引するすべての人に関係してくる情報と言えます。

コラム執筆:ジョン太郎

金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本」がある。

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