第362回 投資信託の数が多くて選別方法がわからない・・・。銘柄選別のアドバイスを!

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第362回 投資信託の数が多くて選別方法がわからない・・・。銘柄選別のアドバイスを!

<質問>

これからの資産運用先として投資信託を考えていますが、マネックスでの取扱銘柄でも800もあり、どのように選択するか迷っています。 銘柄選別をする際の注意点やアドバイスをいただけると幸いです。


<回答>

投資先を決めるうえで重要なのは、どの資産にいくらずつ配分するかというアセット・アロケーションです。このアセット・アロケーションが投資のリターンの大部分を決定します。ですので、まずはどの資産にいくらずつ配分するかを決めるために最大の時間と労力を費やすべきで、それぞれの資産(アセット・クラスといいます)への投資をどのファンドを通じで行うのかを決めるファンド毎の比較は二の次になると思います。

例えば、日本株の市場全体の平均リターンが年率5%、米国株のリターンが年率10%、新興国株のリターンが年率15%だったとします。それぞれの市場で運用し、市場平均をプラスマイナス2%以内で上回ったり下回ったりするファンドが100本ずつあったとしましょう。すると、日本株で運用する100本のファンドのパフォーマンスは3%から7%の間に散らばり、米国株は8%から12%の間に、新興国株は13%から17%の間に散らばります。すると、日本株の中でもっとも良いパフォーマンスをこれから出すことができるファンドを見つけることが奇跡的にできたとしても、そのパフォーマンスは米国株や新興国株で運用する最もパフォーマンスの劣るファンドに負けてしまいます。すると、日本株しか買わない、という条件を決めた時点で、あるいは配分比率を日本株に100%と決めた時点でリターンはある程度決まってしまうことになります。

この例は決して大げさではなく、これくらいの差がつくのが普通なのです。ですから、まずはどの国のどの資産にどのくらいずつ配分するのかというアセット・アロケーションを一生懸命に考えましょう。もちろん、先進国の株、新興国の株、先進国の国債、新興国の国債に25%ずつ、という具合に配分して、それぞれの市場全体の平均をとらえるようなインデックスファンドを買う、というのでも構いません。大切なことはまずはアセット・アロケーションありき、ということです。

また、パフォーマンスを考える計測期間も重要です。1年間で考える、5年間で考える、10年間で考える、ではそれぞれのアセットクラスが持つリスクもリターンも変わってきてしまいます。これから3日の平均気温は、その土地の過去10年の平均気温と大きくかけ離れる可能性がありますが、これから先6ヶ月の平均気温となれば過去の平均気温にだいぶ近づき、これから先10年の平均気温ということになれば過去10年の平均気温にかなり近づくことが期待できます。せっかくこれからの大きな成長に期待して新興国に投資しても、投資して半年やそこらで国が大きく成長するのを期待することは現実的ではなく、やはり5年・10年といった長い目で見守り、中長期のスパンでパフォーマンスを考えていかないととても割に合いません。こうしたことを踏まえて、まずはどのくらいの目線で投資を考えていくのか、その期間投資していくとしたら自分はどういうアセット・アロケーションにするのがベストだと考えるか、を考えてみると良いと思います。


コラム執筆:ジョン太郎

金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本」がある。

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