第363回 第3四半期の決算続々!決算報告書の基本的な見方と、今回の注目ポイント

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第363回 第3四半期の決算続々!決算報告書の基本的な見方と、今回の注目ポイント

<質問>

各社第3四半期の決算が出揃ってきました。決算報告書の基本的な見方と、今回の注目ポイントを教えてください。


<回答>

決算書の見方ですが、まずは「今はどういう状態なのか」「何が起きた・起きているのか」を大枠でつかむことが大事です。いきなり細部細目に入るのではなく、全体像を把握し、その後で気になった部分を「具体的に何が・何を」「なぜこういうことに」という具合に読み込んでいくと良いと思います。

まずはB/SとP/L、キャッシュフロー計算書の3表をおおまかに読みます。文字数の関係で詳細は割愛しますが、これら3表をおおまかに読むだけでも「売り上げが増えた」「利益が減った」「利益率が急に上がった」「借金が増えた」「商売の儲けが借金の利息の支払いでほとんど消えている」「突然不動産を買った」「現金が大きく減った」「子会社をたたんだ」「資金繰りが苦しそうで危ない」「業種は地味だけど実はすごく儲かっている」「大きくて有名な会社だから全く心配していなかったが中身はボロボロだった」「吹けば飛ぶような会社かと思っていたら実は超健全で頼もしい」「円安で良くなっていると思ったら逆に悪くなっていた」などといったことが分かります。これだけでもその会社への投資を考えている人、既に投資をしている人、取引をしている相手方、にとっては価値ある情報です。

こうしたおおまかな状況把握ができたら、「なぜ利益が減ったんだろう」「なんで借金が増えたんだろう」「なんのための不動産を買ったんだろう」「現金が減っているけどその現金はどこへ行ったんだろう」といったことを探って気になるところを細部細目まで読んでいきます。こうすると、木を見て森を見ず、といったことに陥らず、全体を把握したうえで細部を整理しながら理解を進めていくことができます。

慣れないうちは大変かもしれませんが、きちんとした基本的な決算書の読み方を勉強しておけば(そんなに多くの詰め込み勉強をする必要はありません)、あとは1回決算書を読むごとに経験が積み上がり、知識が体系的に整理され、エッセンスが蓄積されていきます。そんなに遠い道のりではないので、苦手意識をもたずにどんどん読んでいくことが実は凄く大切です。


今回の注目ポイントという点では、やはり今の経済・金融の状況がその会社の経営にどういう影響を与えているのかという点と、以前と大きく変わったこと、たとえば円安・ドル高の進行、原油安、米国景気の回復、日本の金融緩和、といったことがその会社にどういう影響を与えているのかという点に注目して見ていくとよいのではないでしょうか。

コラム執筆:ジョン太郎

金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本」がある。

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