第364回 JPX400の連動ETFに投資したい!注意すべきデメリットは?

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第364回 JPX400の連動ETFに投資したい!注意すべきデメリットは?

<質問>

JPX400の連動ETFはよい投資先であるとよく聞きますが、逆にデメリットの部分について教えていただけますでしょうか。


<回答>

以前にJPX400指数の特徴についてお話しましたが、この指数の動きに連動するETFの特徴も概ねその内容と考えていただいてよろしいかと思います。今回はこの指数のデメリットや問題点についてお話ししていきたいと思います。

JPX400指数の最大の特徴は企業のファンダメンタルズを考慮した指数であるという点です。具体的には、

1)適格基準(上場後3年未満、過去3年どこかで債務超過、過去3年連続営業赤字、過去3年連続最終赤字、整理銘柄、のいずれかに該当すると除外)


2)流動性基準(過去3年間の売買代金と選定日の時価総額の2項目で流動性が高い上位1,000銘柄を選ぶ)


3)ファンダメンタルズ定量評価(過去3年の平均ROE(40%)、過去3年の累積営業利益(40%)、時価総額(20%)、の3つを各順位でスコア付けして()内ウェイトで加重)

4)ファンダメンタルズ定性評価(独立した2人以上の社外取締役の選任、IFRS採用、決算情報英文資料をTDnetで開示、の3つで加点可能)


の4つを、1),2)でスクリーニングして1,000銘柄に絞り、3)のスコアに4)の補完指標で加点して1,000銘柄の総合スコアを出して上位400銘柄を選定、時価総額加重(1銘柄当たり1.5%上限)で組み入れ比率を決定します。銘柄入れ替えは年に1回です。

そもそも、以前にお話ししたようなファンダメンタルズの良い銘柄が良いパフォーマンスを記録するとは限らないといったことは心に留め置くべきですが、デメリットや問題点ということになりますと主なものとして以下のようなことが挙げられると思います。

◆あくまでも過去と現在のファンダメンタルズで選ばれているということ
この指数は過去3年のROEや営業利益などを使って銘柄を選ぶのであり、過去3年に良かった会社が今後も業績が良いとは限りません。


◆採用されるデータが3年分とあまり長くない期間であるということ

長ければ長いだけ良いというものではありませんが、3年というのはやや短い気がします。期間が短いだけに、急激な業績の変化も十分にあり得ると考えられます。

◆株価水準が割高かどうかという観点が含まれていないこと

スクリーニングにはPERやPBR、配当利回りといった株価が割安か割高かを判断する際に使われる指標が入っていません。結果的には割高な株を選んでしまう可能性があります。また、過去3年絶好調で株も大きく買われて高PERとなっている銘柄を買い、その後の業績悪化で大きく売られて低PERつまり割安となったところでその銘柄を売り、ということにもなりかねません。

◆業績悪化前に買い、業績回復前に売ってしまう可能性があること

先ほどのPERなどの点でも割高な時に買い、割安な時に売ってしまう可能性がありますが、過去の業績でスクリーニングする以上、業績のピークつまり業績の悪化の前に買い、業績のボトムつまり業績の回復の前に売ってしまう可能性があります。

◆高いROEは借金の多さの裏返しの場合もあること

ROEという指標はとても優れた便利な指標ですが、難点は何かというと、借金が高レバレッジの危うい会社も選んできてしまう可能性があるということです。ROEは利益を純資産(総資産-借金)で割って算出するため、同じ利益と総資産であれば借金が多いほうがROEは高くなります。

どんな指数にも弱点や問題点はあります。こうした弱点や問題点も知ったうえで、ご自分のお考えに合う指数を選ぶとよいと思います。


コラム執筆:ジョン太郎

金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本」がある。

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