第365回 今世紀最高値更新中の日経平均。この後どうなる?

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第365回 今世紀最高値更新中の日経平均。この後どうなる?

<質問>

2月末に今世紀最高値を更新し、その後も順調に高値を更新している日経平均株価ですが、この後の相場をどうみられていますか。


<回答>

日本株は行き過ぎ・上がり過ぎなのでは?天井なのでは?もう上がらないのでは?という声も聞こえてきますが、結論から申し上げると私はそうは思いません。

株式のリターンというのは、A:株価の上昇によるキャピタルゲインとB:配当収入によるインカムゲインに分けられます。さらに、Aのキャピタルゲインは株価=利益☓PERですから、①利益の増加と②PERの上昇、に分割できます。つまり、今の日経平均株価がいくらか、が重要なのではなく、今後企業利益が伸びるのかとPERがどう変化するのか、が重要です。たとえば、利益が10%伸びれば、PERが上昇しなくても株価は10%上がります。利益の一部は配当として株主に還元されるため、利益が伸びることはインカムゲインにもプラスに働きます。

今の日経平均のPERは17倍前後で、少し前と比べると上がってきていますが、目くじらを立てるほど高いわけではありません。組入企業の利益が毎年年率5%で成長し、PERが17倍を維持すれば、株価は5年で28%、10年で63%上昇することになります。また、利益が毎年年率5%で成長していけば、PERが15倍に下落しても、5年後であれば13%、10年後であれば44%上昇することになります。ところが、利益が全く伸びないのであれば、株価はPERの変化次第ということになります。たとえば、今から1ヶ月後といった短期間に企業の利益が大幅に変わることは考えにくく、1か月後の利益が今と変わらないのであれば、PERが15倍に低下すれば株価は12%下落し、PERが13倍に低下すれば株価は24%下落します。日本企業の利益が少しずつでも伸びていくのであれば、さほど高くはない現在のPERが同水準を維持するか小幅の下落に留まれば、株価が今よりも上昇することは可能です。

短期間に、言い換えれば企業の利益が伸びる時間がないほど短い期間に、株価が上昇するためにはPERが上昇しなくてはなりません。割高にならなくてはいけないということです。短期的な株価の上昇に期待するのはPERの上昇に期待するのとほぼ同義であり、短期的に大きく値上がりしたものというのは、PERが上昇し割高になったものが多いのです。この点は十分に心得ておくべきでしょう。

個別銘柄であれば短期的に大きく利益が伸びることもあるかもしれませんが、多数の銘柄で構成される指数全体で見て利益が短期間に大きく伸びるということはあまりありません。株価上昇に期待するのであればやはり中長期的な視点が重要です。

コラム執筆:ジョン太郎

金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本」がある。

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