第369回 円安が進むと株高になる。。。どうして?

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第369回 円安が進むと株高になる。。。どうして?

<質問>

「円安が進むと株高になる」という構造がよく理解できません。どういうメカニズムなのでしょうか。

<回答>

円安が進むと日本株が上がる傾向がある、という点についてご説明させていただきます。一般的に、通貨安が進む場合、輸出が有利になり、海外売上高の円評価が大きくなります(他にも海外からの観光客が増えたりするメリットもあれば、インフレ圧力がかかったりするなどのデメリットもあります)。

輸出が有利になるのは、例えば8,000円のコストで作ったものを10,000円で売ろうとした時、アメリカで売る場合には1ドルが80円ならば125ドルで売ることになりますが、1ドルが120円まで円安ドル高が進めば83ドルで売ることになります。125ドルで販売していたものを83ドルまで値下げしても、日本円では10,000円の売上が確保できることになります。日本円で同じ金額の売上や利益を確保しつつアメリカでは値下げをすることができるのです。また、同じ価格で販売し続ければ売上や利益が増えます。

例えば、1ドルが80円から120円まで円安ドル高が進み、アメリカで100ドルで販売していたものをそのまま100ドルで販売し続けた場合には8,000円の売上が12,000円にまで増えます。日本円で同じ売上・利益を確保しつつ現地値下げができたり、同じ現地価格を維持しながら日本円で売上・利益を増やすことができるので円安の進行は日本企業の輸出に有利になります。

同様に、例えばアメリカに進出している日本企業がアメリカで毎年1億ドルの利益をあげ続けている場合、1億ドルの利益というのは全く変わっていなくても、1ドルが80円から120円まで円安ドル高が進めば日本円で評価した利益は80億円から120億円にまで増えます。

こうしたことから、円安が進むとこれらの恩恵を受けるような会社の利益が伸びることが期待でき、株価が上昇しやすくなる傾向があるのです。反対に一気にドル高が進んだ米国で、2014年から2015年にかけて米国企業の利益成長に急ブレーキがかかり、IMFが米国の成長率見通しを引き下げたのも、先程の例と真逆の事象が起こったためです。

コラム執筆:ジョン太郎

金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本」がある。

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