第371回 私も米国企業の投資家に! でも、情報収集はどうしたら・・・?

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第371回 私も米国企業の投資家に! でも、情報収集はどうしたら・・・?

<質問>

米国株式に興味があって個別株式を買ってみたいと思っています。ただ、海外の企業の情報が少なくてどこにどう投資をしたら良いのか分かりません。どのようにして情報収集したら良いのでしょうか?

<回答>

たしかに、国内企業に較べて海外企業の場合は言葉の問題や、メディアでの取り上げ方の問題で、どうしても情報が限られてしまいますね。

一方で、こんな風に考えることもできると思います。株式のリターンというのは分解すればインカムゲイン(配当収入)とキャピタルゲイン(値上がり益)の2つであり、キャピタルゲインは株価=利益☓PERですから、株価上昇率は(1+利益変化率)☓(1+PER変化率)-1ということになります。短期的な投機取引を行う場合、配当の積み上がりには期待できず、また、企業利益の大きな成長も期待しにくいため(年率10%の利益成長は10年続けば159%になりますが、1年ではわずか10%)、PERの変化がとても重要になります。

中長期的な投資を考えるのであれば、配当も利益から生み出されるものですから、まずは①今後の利益、これから10年しっかり稼いでいけるのか、10年後の利益は今より大きく伸びていると考えられるか、を考えることが重要です。次いで、②エクイティ投資は潰れたらゼロが基本ですから10年後に潰れていないかを考えること、財務状況はどうか、健全性はどうか、といったことを考えてみることが重要です。そして③他と較べて、過去と較べて、極端にPERが高くないか、もチェックしたいところです。

これらは毎日たくさんのニュースをチェックしなくても、ある程度、数字で考えられるものばかりです。数字は世界共通です。決算書の読み方も、基本をマスターしていれば海外企業の決算書だって読むことができます。①の業績にしても、自分で将来を考えてみるだけでなく、アナリストたちの業績予想や会社が発表している計画や見通しなども参考にすれば、ある程度限られた情報でも判断できるのではないかと思います。

ネットやリアルの世界にあふれる噂話や根拠の無い話、これがいいらしい、これがいいって話を聞いた、これが人気らしい、というような話に流されてしまうのであれば、それは米国株に限らず、国内株への投資でも投資判断を誤りかねません。国内企業への投資にしろ、海外企業への投資にしろ、株式投資で重要なことは共通で、それらは言語の壁にあまりとらわれないものではないかと思います。

コラム執筆:ジョン太郎

金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本」がある。

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