第373回 夏のボーナス♪ 注目の投資商品は?

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第373回 夏のボーナス♪ 注目の投資商品は?

<質問>

今年は夏のボーナスが支給されそうです。ボーナス資金での投資で注目の商品はありますか?

<回答>

特定の商品をご推奨することが難しいですが、私自身も一個人投資家として様々な資産に投資をしていますので、私がボーナスをもらった時などまとまった資金で投資をする時にどんなアプローチで投資先を選ぶかをご紹介してみたいと思います(普段はマネックス証券さんの投信積立プログラムで毎月少しずつ買っていますがこちらはあまり投資先を変えていません)。

まず、株式の場合、個別銘柄に投資する場合であれ、ファンドを通じて分散投資をするのであれ、株式の長期的なリターンは

(1)インカムゲイン(保有期間中の配当の積み上がり)

(2)キャピタルゲイン(売却時の値上がり益)

の2つであり、海外の株式に投資をする場合ここに為替損益が加わります。(1)は短期的にはほとんど積み上がりませんが、長期的には驚くほど積み上がっていきます。配当の源泉はもちろん企業が稼ぎだす利益ですから、長期的に利益を稼いでいけるかどうか、利益額が伸びていくかどうか、を考える必要があります。

一方、(2)は、株価の上昇率は(1+利益の変化率)☓(1+PERの変化率)-1ですので、長期的な利益の伸び率が高いかどうか、現在のPER水準が高すぎないか、を考える必要があります。PERは利益が増えれば下がっていきますので、利益成長率が高ければ多少高くても良いと思いますが、利益成長率があまり高くないのにPERが高過ぎるような場合にはPER低下による株価下落が起こりやすくなります。特に市場規模が小さいにも関わらず人気や注目が集まっているものにはこうした傾向がよく見られるので注意が必要です。

短期的な投機を行う場合、(1)はほとんど積み上がらず、(2)の利益水準もあまり大きく変化せず、PER水準は変動しやすいためPERの変動が損益を大きく左右します。

というわけで私が長期的な株式投資先を選ぶ際には、今後の長期的な利益率が高い企業はどういう企業だろうか、現在のPER水準は高すぎないか、潰れない会社だろうか、という3つの観点で考えます。3つ目の「潰れないだろうか」というのはエクイティ投資の必須項目です。株式やREITなどのエクイティ投資は、破綻時にはゼロになるのが基本ですから、潰れないだろうかという観点でのチェックは欠かせません。投資先の会社が潰れずに利益が伸びていけば、例えば配当が年2%、利益成長は年率10%、PER水準は売買時同水準とすると、10年で(1)が22%(2)が159%、20年では(1)が49%(2)が573%にもなります。

債券の場合はとるリスクと利回りのバランスで考えます。例えば利回り1%の債券は10年経っても100が110.46までしか増えませんが、5%なら162.89、10%なら259.37、まで増えます。これがインカムゲインで、債券価格の変動が上下10%とか30%あったとしてもインカムゲインで十分にカバーできます。更に、海外の債券に投資する場合、投資開始時に10だった為替レートが10年後の売却時に7まで下落していても利回り5%の債券なら


【100☓10=1,000→162.89☓7=1,140】


とプラスのリターンを確保できます。しかし、利回りが低い債券で債券価格が下落したり、為替レートが下がったりしてしまうと、せっかく時間をかけても、積み上がるインカムゲイン以上にロスをして、全体がマイナスとなってしまいます。というわけで私が長期的な債券投資先を選ぶ際には、投資時点でリスクに見合った十分に高い債券利回りを提供してくれるかどうか、にフォーカスして選びます。為替リスクをとるのに2%の利回り、なんてとても割に合うとは思えません。


コラム執筆:ジョン太郎

金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本」がある。

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