第375回 中長期投資、どこの国への投資に注目?

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第375回 中長期投資、どこの国への投資に注目?

<質問>

今から中長期での投資を考えています。どこの国に投資している商品に注目されますか。

<回答>

中長期での投資をお考えということですので、ご自分がとれるリスクの範囲で期待リターンが高いと考える資産に投資する、というのが基本的な考え方になろうかと思います。

いくら期待リターンが高くても、自分がとれるリスク以上のリスクのある資産への投資は、自分の考えに合った投資とは言えません。投資は長きに渡って行うものだからこそ、自分に合ったものではないと、とても付き合いきれません。

そして、ご自身がポートフォリオ全体でリスクやパフォーマンスを考えることができるのか、ポートフォリオを構成する1つ1つの資産それぞれのリスクやパフォーマンスが気になってしょうがないのか、によっても考え方は変わってくると思います。例えば、新興国株式に分散投資する場合、簡単に言えばMSCIエマージング株式指数に連動した運用成果を目指すファンドに投資する場合、リスクの大きさは国内株式や他の先進国株式に投資する場合よりも大きく、米国REITと同程度のリスクをとることになります。(月次リターンの標準偏差では日本株や先進国株が年率15~20%レベル、米国REITや新興国株式は25%程度、単一国の新興国株だと25~40%レベル。リーマン・ショックの時の最大下落幅では、日本株や先進国株が-60~70%レベル、米国REITが-80%程度、新興国株式が-70%程度、単一国の新興国株だと-60~90%レベル。)

この新興国株式分散投資のリスクをとると、リーマン・ショックのような時に瞬間的に7割程度下落し、何年かに一度は2~4割くらいの下落をしてしまうリスクをとることになります。これに一点張りして、ポートフォリオをこれだけで組んだ場合にはこのリスクがポートフォリオ全体のリスクとなりますが、他の資産にも分散投資をしている場合には、これはあくまでもポートフォリオの一部でとっているリスクということになります。その場合、分散効果もありますので一時期たまたま新興国株式が3割下落したとしても、新興国株式が他の資産をカバーするような局面も考えられるわけですから、新興国株の下落に目くじらを立ててもしょうがありません。しかし、それをしょうがないと考えられない場合には、極端な話、ポートフォリオの構成資産全てがそれぞれ2割以上下落しないようなポートフォリオを組みたい、2割以上下落するようなパーツは一切使いたくない、と考える場合には、全て低リスク資産のパーツを使ってポートフォリオを組むしかなくなります。

私は自分のポートフォリオを構成している1つ1つの資産の動きはあまり気にしていません。全体で調和がとれていればそれで良いと考えているからです。また、リスク許容度もかなり高い方だと思いますので、リスクが高く期待リターンの高いものをどんどん使っていきます。例えば、フィリピンやバングラデシュやベトナムの株式などにも投資していますし、新興国株式の個別銘柄などにも投資しています。国単位であれ、業種単位であれ、個別株であれ、株式投資の場合の期待リターンは、異常なPERで投資しない限りは投資先企業の利益成長率がベースになりますので、とれるリスクの範囲内で自分が成長すると思う国・業種・テーマ・企業の株式に投資していけばよいかと思います。債券の場合は、期待リターンは債券利回りがベースとなりますので、とるリスクと債券利回りのバランスで考えれば良いと思います。


コラム執筆:ジョン太郎

金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本」がある。

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