第377回　夏休みシーズン到来。お金について家族で話そう

＜質問＞

夏休みシーズン到来です。この時期に見なおしておいたほうが良い情報や注目すべきイベントはありますか？

＜回答＞

夏休みだからこれを見ておいたほうがいい、夏休みシーズンにはこういう情報に注目、みたいなものは正直ちょっと思い浮かびません。また、イベントも短期的な投機取引をする人にとってはとても重要で、自分が行う取引に影響を与えるイベントにはまんべんなく注意を払っていく必要がありますが、中長期的な投資を行う人にとってはイベントはあまり重要ではありません。今後の世界はどうなっていくか、少し長めの時間軸で5年、10年といった時間で世界がどうなっていくか、を考えることが中長期の投資家にとっては重要です。

一方で、夏休みシーズンは普段は忙しくてなかなか時間がとれない方が貴重な時間を手にするチャンスでもあると思います。この期間にお金のことを考えたり、ご自分の投資を見直したり、親御さんと、あるいはお子さんと、ご主人・奥様と、お金や投資のことを話してみるには良い機会ではないでしょうか。

この国には、お金の話をするのは卑しいとかはしたないというような風潮がまだまだあると思いますが、家庭で親御さんやお子さんと、ご主人・奥様と、お金のことを話すことはとても重要だと私は思います。

この国のお金を取り巻く環境はもはや、お金の話をするのは卑しいとかはしたないとか言っていられるような状況ではありません。個々人がそれこそ必死になってお金のことを考えていかなくてはならない状況になっています。人口増加を背景にした高成長期であれば、所得がどんどん増えていき、稼いだお金を預金にしておくだけで高金利での利息収入が得られ、お金の話をするなんて！と言うくらいの余裕はあったかもしれません。しかしこの国はもうそんな国ではないのです。

1人当たりGDPを伸ばすような政策もとられず人口減少に歯止めがかからず、この国の１人当たりGDPは香港やシンガポールよりだいぶ低水準となり、経済成長率は低空飛行が続いていいて上昇見込みは今のところありません。低成長下で所得はあまり伸びず、社会保障料負担の増加などで可処分所得が減り、国の深刻な財政状況により増税が行われ、インフレ政策がとられて貯めてきたお金の価値が目減りし、預金金利はインフレ率を大きく下回り、老後を支える年金制度も利権悪用で蝕まれてボロボロ・・・本当にひどい状況です。

国がなんとかしてくれるとか、なんとかなるだろう、ではなく1人1人が経済的なサバイバルを強く意識して生き抜いていかなくてはならないのです。私はことあるごとに金融・経済の世界に疎い両親や妻に、お金や投資の話をし、サバイバルに必要な情報を伝えています。幼い息子にもスーパーで一緒に買い物をする時、一緒に電車に乗った時、様々な場面でお金のことや経済のことを教えています。この夏休みは是非、ご自身のために、大切なご家族のために、お金のことを考える時間をとってみてください。

お金のことを考えたり、ご家族とお金のことを話してみるのに、拙著「外資系金融マンがわが子に教えたい「お金」と「投資」の本当の話」も良かったら是非ご活用ください。「さあ、みんなでお金のことを考えよう！」と高らかに宣言しても何から話したらいいか分からないでしょうし、何かあったほうが考えやすいですから。お金のことを考えたり、家族で話すことはとても大事なことなんです。この夏、是非！

コラム執筆：ジョン太郎

金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「外資系金融マンがわが子に教えたい「お金」と「投資」の本当の話」、「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本」がある。