第381回 超大型IPO!株式市場に与える影響は?

今知りたい!投資の悩みやお金に関する質問に資産運用の熟練講師がお応えします。

第381回 超大型IPO!株式市場に与える影響は?

<質問>

郵政グループ3社の上場が予定されています。1987年のNTT以来となる大型のIPOですが、日本株市場に与える影響として何が考えられますか?

<回答>

まず、超大型のIPOですから、需給面での影響はあるはずです。今回のIPOは、日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命、の3社で合計約1兆4,000億円にも及ぶ売り出しとなり、2兆円を超えたNTTとNTTドコモに次ぐ史上3番目の規模と、かなりの規模です。これにより、供給が大きく増えるわけですから、需給面の供給サイドにまずインパクトがあります。郵政グループ3社の株の購入資金を準備するために他の株式を売却する、という行動も見られるでしょう。

一方で、供給サイドだけでなく、需要サイドを増やす効果も期待できます。今回のIPOは、個人投資家に広く保有してもらい、安定株主を確保するという大きな狙いがあります。そのために、3社全ての株式をまとめて買っても50万円程度になるようにし、NISA口座での親和性も高めています。また、配当性向を高めて、高い配当利回りを提供しようとしているのも、安定株主確保の狙いがあります。こうしたことから、これまで株式投資経験のなかった個人投資家やこれまで全く投資経験のなかった個人が参入し、株式市場に新たな資金を呼び込むことが期待できます。

このように、一方的に供給サイドが増えて需給が悪化するというよりは、需要サイドも増加して市場の需給に厚みが出る、と見ております。

また、当然ながら日本株市場全体の時価総額が増加し、PBR面や配当利回り面で割安な水準で売り出されるIPOによってただでさえ割安感の強い日本株市場に更に割安感を増したり、TOPIXや日経平均株価などに組み入れられることで構成銘柄や指数特性に変化が出たり、というようなインパクトもありますが、私は最も大きなインパクトは株式市場に新たな参加者、新たな資金、を呼び込むというところにあると考えています。

コラム執筆:ジョン太郎

金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「外資系金融マンがわが子に教えたい「お金」と「投資」の本当の話」、「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本」がある。

マネックスからのご留意事項

「お金の相談室」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

マネックスメール登録・解除

コラム一覧