第395回 注目のジュニアNISAについておさらい

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第395回 注目のジュニアNISAについておさらい

<質問>

ジュニアNISAの取引がスタートしました。ジュニアNISAで取引をするのにおすすめの商品を教えてください。

<回答>

投資やリスクに関する考え方はお一人お一人異なるものなので、どなたにもおすすめできるもの、というのはありません。また、特定の資産や個別の商品を推奨することはできませんので、どういうアプローチで考えたらよいか、という一例をご紹介したいと思います。

まず、ジュニアNISAの制度のポイントについて簡単におさらいしておきますと、
①日本在住の0~19歳の未成年が対象、運用は原則親権者が行う

②一人一口座のみで、途中で金融機関変更はできない

③非課税枠は毎年80万円で5年間で最大400万円

④非課税期間は投資開始した年から5年間

⑤20歳以降は自動的にNISAに移管、18歳までは引き出しに制限(やむを得ない事由以外での引き出しは課税されて引き出し)

という制度です。

制度としては運用面では大人のNISAと変わりませんので、私はまず第一優先順位となる条件は5年後にマイナスになる可能性の低いものだと思います。NISAという制度は「利益が出たとき」にメリットがある制度ですが、「利益が出なかった場合」や「損失が出てしまった場合」のケアがあまり十分ではありません。5年後の非課税期間終了後に、損失が出ていると、たとえば50万円投資したものが40万円になっていた場合、40万円で買ったものとして通常の口座に移管されるため、その後元の50万円に戻ったところで売却すると、50万円で買ったものを50万円で売却しただけで全く儲かっていないのに、税制上40万円で買ったものを50万円で売却したものとみなされて、10万円の利益が出たものとして課税されます。

こうしたことから、ジュニアNISAで投資するものは、投資期間5年で考えた場合のリターンのブレ幅が小さいものを選び、5年後のリターンがマイナスになりにくいものを第一条件にして選ぶべきだと思います。5年後のリターンがマイナスになった場合はNISA口座で投資するよりも通常の口座で投資したほうがメリットがあり、NISA口座で投資した場合無駄な税金を支払うことになってしまうわけですから。私は自分自身のNISAでの投資も、これから行うジュニアNISAの分の投資も、こうした考えで投資先を選んでいます。

次に、ポートフォリオ全体で考え、もしジュニアNISAのみで投資をするならば、5年後のリターンのブレ幅だけでなく非課税期間終了後も続いていく長期間の運用を考えて、せっかく長い投資期間を活用できるのだからある程度リスクをとって高いリターンが出るものも活用するのかを考えるとよいと思います。一方、ジュニアNISA以外にも投資をするのであれば、リスクの高い、5年間のリターンのブレ幅が大きいと考えられるものは通常の口座で投資し、5年間のリターンのブレ幅が小さいと考えられるものにはジュニアNISAで投資する、という具合にすれば良いと思います。


コラム執筆:ジョン太郎

金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「外資系金融マンがわが子に教えたい「お金」と「投資」の本当の話」、「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本」がある。

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