第2回 「債券投資をする上での注意点」【特集】「今だからこそ、債券や国債のことを知ろう」

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第2回 「債券投資をする上での注意点」【特集】「今だからこそ、債券や国債のことを知ろう」

今回は個人投資家が債券投資をする上での注意点を取り上げます。債券には国債や地方債、社債など数多くの種類があります。しかし、その多くは個人向けというよりも、巨額の資金を運用している機関投資家と呼ばれる銀行や生保、年金運用者に向けて発行されています。このため、個人投資家が購入しているのは、主に個人向け専用に出されている債券が多いようです。個人向けには国債や地方債、社債などが発行されています。

債券を購入する際に注意すべきものに、まず価格変動リスクがあります。債券は有価証券と呼ばれる金融商品であり価格が存在し、その価格が上げ下げします。償還日(満期日)まで持てば、途中で利子が支払われ、額面金額(償還金額)が返ってきます。しかし、途中でその債券を売却するような場合には損失が発生するリスクがあります。

これは極端な例ですが、世界的な問題となっているギリシャの国債では、それを保有している金融機関は額面の50%以上の損失を蒙る可能性が指摘されています。また、反対に買われている日本の国債では、3年前に発行された30年国債が額面100円に対して110円以上で取引されているものがあります(2011年10月7日現在)。

債券は、利付債と呼ばれる毎年2回(もしくは1回)利子が支払われるタイプのものが多く発行されており、債券ごとに資金が返される日と、いくら返されるのかという額面金額が設定されています。昔の債券は紙であったため、その紙(有価証券)に額面金額が記載されていましたが、現在発行されている債券はほとんどがペーパーレスのため、電子上で記録管理されています。

債券投資で気をつけなければいけないものに、流動性リスクと呼ばれるものもあります。途中で売却したくても売却先が見つからず、売るに売れない、売りたい値段で売れないという事態が発生する可能性があります。特に発行量が比較的少ない債券にはこの点に注意が必要です。販売した証券会社が買い付ける場合もありますが、流動性に乏しいものはその分、売却価格に反映される可能性があります。

また、債券によっては個人向け国債のように途中売却ができない期間が設けられているものがあるため注意が必要です。個人向け国債は一定期間が過ぎてからは途中で売却が可能となり、その際には財務省が額面で買い取ることで、価格変動リスクや流動性リスクはありません。ただし、その分、利率が低く設定されていることで、ほかの債券と比較して金利面でやや不利となっています。

そして、債券にはもうひとつ信用リスクというリスクが存在します。これは途中で利子が支払われない、もしくは額面金額で償還されないというデフォルトリスクとも呼ばれるものです。現在、ギリシャの国債で問題になっているのが、このデフォルトリスクです。もしギリシャの国債がデフォルトを起こせば、それを大量に保有する欧州の金融機関に影響を与え、リーマン・ショック時のような危機が起きるのではないかと危惧されています。

それでは日本の国債については信用して良いのかどうか聞きたい、という方もいるかもしれません。このあたりについては後ほど触れてみたいと思っています。

コラム執筆:久保田博幸

1958年、神奈川県生まれ。慶応義塾大学法学部卒。証券会社の債券部で約14年間、国債を中心とする債券ディーリング業務に従事する傍ら、1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。専門は日本の債券市場の分析。特に日本国債の動向や日銀の金融政策について詳しい。現在、金融アナリストとしてQUICKなどにコラムやレポートを配信している。また、「牛さん熊さんの本日の債券」と「牛熊ウイークリー」という有料メルマガを配信中。日本証券アナリスト協会検定会員。主な著書に『日本国債は危なくない』(文春新書)、『ネットで調べる経済指標』(毎日コミュニケーションズ)、『短期金融市場の基本とカラクリがよーくわかる本』(秀和システム)、『債券と国債の仕組みがわかる本』(技術評論社)など多数

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