マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
前回は、債券投資をする上での注意点として債券のリスクを中心に見てきましたが、今回は債券投資の利点とともに、個人投資家の方が債券投資を行なう際に、どのような選択を行なったら良いのか、考えるポイントをお伝えしたいと思います。
私達が銀行などに預けている預貯金や、生命保険に払い込む保険料、年金の積立金などは、それぞれ銀行や生命保険会社、年金資金の運用会社が運用を行なっています。その運用先のかなりの部分が国債を中心とした債券に向かっています。例えば大手の生命保険会社の資産全体に占める公社債の割合は4割程度、年金積立金管理運用独立法行政人は7割程度あり、ゆうちょ銀行に至っては国債だけで8割程度を占めています。
なぜ大手の金融機関はこれほど債券投資に資金を向けているかといえば、ほかの金融商品に比べて安全性が高く、巨額の資金を投入できるだけの発行量があり、年限別などの種類が豊富にあることなどが理由として挙げられます。
このように債券は比較的安全資産とみなされています。ただし、債券にもいろいろな種類があり、その種類によってリスクも異なります。このため個人が債券投資をするにあたっては、まず資金を運用する期間とともに、どの程度のリスクを許容できるかも大きな基準となります。また、投資を行なうタイミングでの金融市場を取り巻く環境も考慮する必要があります。
現在の日本はデフレと呼ばれる環境にあり、物価が上昇しにくいため、物価と反対方向に動きやすい金利は当然低い状態となっています。このため、預貯金の金利とともに債券の金利も低い状態が続いています。この状態がいつまで続くのかとの予測はなかなか難しいのが実情です。このため、金利の低いうちはなるべく短い期間の債券を購入し、ある程度金利が上昇したところで期間の長いものに乗り換えるというのもひとつの手段です。
次に資金運用の目的に応じた投資法を見てみましょう。例えば将来の結婚資金や住宅購入資金、また子供の将来の学費のための資金などの投資先は、極力、安全性を意識する必要があります。このため、為替リスクのある外貨建ての債券への投資などは控え、個人向け国債のように利子は低くとも元本が保証され、流動性の高いものが投資に適しています。期間については、いつごろ資金が必要になるのかを考慮して、満期までの保有を前提に投資しましょう。満期前の売却は個人向け国債を含めて、やや不利な条件となる場合が多く、また売却できない期間があることにも注意が必要です。
退職金の一部などを含めた余剰資金については、国債などより多少リスクは高くとも利回りが比較的高いものも購入対象となります。その際には、地域性や自分の興味などを意識して購入するという選択肢もあります。例えば、国債よりも利回りの高い個人向けの地方債や社債などには、かなり人気が高いものがあります。自分の地域に貢献したい、もしくはこの企業の発行する社債を購入してみたいという方もいると思います。これらの債券の購入の際は、期間や利回り、そして最低購入金額、途中売却が可能なのかどうか、格付けはどの程度なのかなどをしっかりチェックしておきましょう。ただし、人気化している債券は購入が難しいものも多く、情報のアンテナを高くしておく必要もあります。
(次回に続く)
コラム執筆:久保田博幸
1958年、神奈川県生まれ。慶応義塾大学法学部卒。証券会社の債券部で約14年間、国債を中心とする債券ディーリング業務に従事する傍ら、1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。専門は日本の債券市場の分析。特に日本国債の動向や日銀の金融政策について詳しい。現在、金融アナリストとしてQUICKなどにコラムやレポートを配信している。また、「牛さん熊さんの本日の債券」と「牛熊ウイークリー」という有料メルマガを配信中。日本証券アナリスト協会検定会員。主な著書に『日本国債は危なくない』(文春新書)、『ネットで調べる経済指標』(毎日コミュニケーションズ)、『短期金融市場の基本とカラクリがよーくわかる本』(秀和システム)、『債券と国債の仕組みがわかる本』(技術評論社)など多数
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債券取引に関する重要事項
<リスク>
債券の価格は、金利水準の変動により上下しますので、償還前に売却する場合には、元本損失が生じることがあります。また、発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに対する外部評価の変化等により、元本損失が生じることがあります。外貨建て債券は、為替相場の変動等により、元本損失が生じることがあります。
<手数料等>
債券のお取引の際には、購入対価をお支払いただきますが、取引手数料はかかりません。外貨建て債券を日本円で購入される場合や償還金等を日本円で受取りされる場合など、所定の為替手数料がかかります(為替レートは実勢レートに基づき当社が決定します。詳細は、当社ウェブサイト「債券」ページの「為替手数料一覧」をご覧ください。)。
<その他>
お取引の際は、当社ウェブサイトに掲載の「契約締結前交付書面」「目論見書」「無登録格付に関する説明書」「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」を必ずお読みください。
======個人向け国債取引に関する重要事項======
<リスク>
個人向け国債は、元本と利子の支払を日本国政府が行うため、安全性の高い金融商品ですが、発行体である日本国の信用状況の悪化等により、元本や利子の支払不能が生じ、投資元本を割り込み、元本損失が生じるおそれがあります。
<手数料等>
購入対価をお支払いただきますが、取引手数料・口座管理料はかかりません。
<中途換金>
・ 個人向け国債については、本人が死亡した場合などを除き、変動金利タイプ(10年満期)及び固定金利タイプ(3年満期)は発行後1年以内において、固定金利タイプ(5年満期)は発行後2年以内において中途換金ができません。
・ 個人向け国債を中途換金する際、原則として下記により算出される中途換金調整額が、売却される額面金額に経過利子を加えた金額より差し引かれることになります。
変動金利型10年満期個人向け国債(変動・10年):直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.8
固定金利型5年満期個人向け国債(固定・5年):直前4回分の各利子(税引前)相当額×0.8
固定金利型3年満期個人向け国債(固定・3年):直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.8
※ 発行から一定期間内に中途換金する場合、上記の中途換金調整額が異なることがあります。
<その他>
ご購入の際は、当社ウェブサイトに掲載の「契約締結前交付書面」「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」を必ずお読みください。
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