第2回 為替相場は本当に金利差で動くのか(その1) 【特集】「今、外貨への投資を考える」

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第2回 為替相場は本当に金利差で動くのか(その1) 【特集】「今、外貨への投資を考える」

前回は、外貨を保有するのは投資ではなく、むしろヘッジであることを基本とすべし、というお話をしました。とはいうものの、外貨建て資産を持った場合、円ベースでの資産価値は、為替相場の変動によって時々刻々動きます。やはり気になるものです。

「為替相場」という生き物を相手にしようとした場合、もっとも初期の段階でわきまえておくべきは、「いったいぜんたい、為替はなんで動くのか」ということです。動くものを相手にしようとした場合、まずはそれが動くメカニズムを知らねばなりません。

では、改めて何が為替相場を動かすのか?ざっと洗い上げても景気や貿易収支というファンダメンタルズのほか、 2国間の株価、金利差並びに物価動向、政府要人の発言、政治の安定性、などなど思いつくファクターは数多くあります。

最近だと、ユーロ相場はギリシャ等の債務削減に向けての進捗状況並びにそれを巡る要人の発言が大きな影響力を持っています。あるいはドル相場だと雇用、住宅といった景気指標がクローズアップされがちです。しかし、これらは短期的な為替相場の動きを説明する文脈の中で示されることの多い要因です。ではもう少し長期で見た場合、為替相場はどのような要因から最も強い影響力を受けつつ動いてきたのでしょうか?

「過去10数年間、日本が世界で最も深刻な不況・デフレを経験してきたのに、相当の円高が進んだよね」「数年前から日本の貿易黒字が減少しているというのに円高トレンドには変化なかったな」「そこへ行くとやはり、内外の金利差の影響力が一番大きいのかな」「実際、ドル金利が過去数年でどんどん下がってくる中でドル安・円高が進んだもんな」。こんな読者の方々のつぶやきが聞こえてきそうです。

確かに、最近では「金利差」の変動見通しをベースに為替相場が説明されるケースが多いように思います。では、長期的なドル円相場についてみてもやはり、金利差が最も強い影響力を持っていたのでしょうか?
さてここは理屈ではなく、実証データに登場してもらうべき場面ですね。

さて困った!?長いスパンでみるとドル円相場と日米の金利差には明瞭な因果関係は認められません。たしかに、2003年以降は金利差拡大=ドル高、金利差縮小=ドル安という関係にあることが分かります。しかし、それ以前はほとんど無関係。いや、むしろ逆に動いていることが多いことに気づかされます。
この事実は、少なくともドル円相場については「金利差」以上に重要な役割を果たす経済要因があることを推測させます。さてそれは果たして何か?次回はこのテーマについて考えます。

コラム執筆:角川総一
(株)金融データシステム代表取締役。1949年大阪生まれ
金融教育、金融評論家。

マネックスからのご留意事項

「特集1」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

マネックスメール登録・解除

コラム一覧