マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
前回は、外貨を保有するのは投資ではなく、むしろヘッジであることを基本とすべし、というお話をしました。とはいうものの、外貨建て資産を持った場合、円ベースでの資産価値は、為替相場の変動によって時々刻々動きます。やはり気になるものです。
「為替相場」という生き物を相手にしようとした場合、もっとも初期の段階でわきまえておくべきは、「いったいぜんたい、為替はなんで動くのか」ということです。動くものを相手にしようとした場合、まずはそれが動くメカニズムを知らねばなりません。
では、改めて何が為替相場を動かすのか?ざっと洗い上げても景気や貿易収支というファンダメンタルズのほか、 2国間の株価、金利差並びに物価動向、政府要人の発言、政治の安定性、などなど思いつくファクターは数多くあります。
最近だと、ユーロ相場はギリシャ等の債務削減に向けての進捗状況並びにそれを巡る要人の発言が大きな影響力を持っています。あるいはドル相場だと雇用、住宅といった景気指標がクローズアップされがちです。しかし、これらは短期的な為替相場の動きを説明する文脈の中で示されることの多い要因です。ではもう少し長期で見た場合、為替相場はどのような要因から最も強い影響力を受けつつ動いてきたのでしょうか?
「過去10数年間、日本が世界で最も深刻な不況・デフレを経験してきたのに、相当の円高が進んだよね」「数年前から日本の貿易黒字が減少しているというのに円高トレンドには変化なかったな」「そこへ行くとやはり、内外の金利差の影響力が一番大きいのかな」「実際、ドル金利が過去数年でどんどん下がってくる中でドル安・円高が進んだもんな」。こんな読者の方々のつぶやきが聞こえてきそうです。
確かに、最近では「金利差」の変動見通しをベースに為替相場が説明されるケースが多いように思います。では、長期的なドル円相場についてみてもやはり、金利差が最も強い影響力を持っていたのでしょうか?
さてここは理屈ではなく、実証データに登場してもらうべき場面ですね。
さて困った!?長いスパンでみるとドル円相場と日米の金利差には明瞭な因果関係は認められません。たしかに、2003年以降は金利差拡大=ドル高、金利差縮小=ドル安という関係にあることが分かります。しかし、それ以前はほとんど無関係。いや、むしろ逆に動いていることが多いことに気づかされます。
この事実は、少なくともドル円相場については「金利差」以上に重要な役割を果たす経済要因があることを推測させます。さてそれは果たして何か?次回はこのテーマについて考えます。
コラム執筆:角川総一
(株)金融データシステム代表取締役。1949年大阪生まれ
金融教育、金融評論家。
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