第2回 信用取引とは?   【信用取引を上手に活用する方法】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第2回 信用取引とは?   【信用取引を上手に活用する方法】

今回は信用取引の仕組みやその名称についてお話ししたいと思います。

信用取引とは、株を売買するための資金や株券を証券会社から借りて行う取引のことをいいます。また信用取引とはそうした取引の総称のことで、株を購入するための資金を借りて買う取引のことを「買い建て(カイダテ)」と言い、また株券を借りて売る取引のことを「売り建て(ウリダテ)」と呼んでいます。

そしてこの「買い建て」や「売り建て」の残高のことをそれぞれ「買い残高」、「売り残高」と呼んでいます。みなさんも信用取引の買い残高が増加したとか、減少したなどという言葉を聞いたことがあると思いますが、それはここでお話ししている残高の事を指しているのです。

通常、現金で株を購入した場合、こうした残高にあたるものはありませんが、信用取引は「売り」と「買い」それぞれの残高が毎週火曜日の夕方に東証から発表されるようになっています。

ただ2011年12月8日現在、東証1部にはおよそ1460銘柄が上場していますが、全ての銘柄が信用取引で「買い建て」や「売り建て」ができるわけではありません。
実は信用取引には大きく2種類あって、「買い建て」はできても「売り建て」ができないものがあるのです。

また、その仕組みの基本になるのが、「制度信用取引」と「一般信用取引」と呼ばれるものです。
「制度信用取引」は、返済までの期限(正確には弁済期限と言います。)や品貸料(シナガシリョウ)などが証券取引所の規定によって定められているもので、例えば、「制度信用取引」では弁済期限は6ヶ月と決められているため、信用取引で売買が成立してから6ヶ月以内に返済しなければいけないルールになっています。

また、「制度信用取引」では「信用銘柄」と「貸借銘柄」があり、「信用銘柄」は株券を借りて行う信用売りができないことが特徴(売り建て不可)です。
一方で「貸借銘柄」は、株券を借りて売ることができるのが特徴(売り建て可)となっています。

したがって、「貸借銘柄」について、株価が下落すると予測される時に、信用取引の「売り建て」を利用することで、下落相場でも利益を上げることができるようになるのです。

続いては「一般信用取引」についてです。「一般信用取引」は、1998年に初めて制度化された取引で、投資家と証券会社との間で弁済期限や品貸料について自由に決められる取引の事を言います。

みなさんも「無期限信用取引」と言う言葉を聞いたことがあると思いますが、まさにこれが「一般信用取引」のことなのです。この一般信用取引は、返済までの期限が(原則)無いことに加え、「制度信用取引」で取り扱われていない銘柄でも取引が行えることがメリットです。

例えば、「制度信用取引」では、各取引所が「制度信用銘柄」に指定してはじめて信用取引が行えるようになりますが、新規上場した会社の株は上昇して暫くたたないと「制度信用銘柄」に指定されないため、上場していても信用取引で「買い建て」しようとしてもできません。

ところが、「一般信用取引」であれば、上場初日から信用取引で買い建てすることも可能なのです。

最近の例で言うと、史上最年少で上場企業の社長になったと報じられ話題になった「リブセンス(6054)」が2011年12月7日東証マザーズに上場しましたが、公開価格の990円に対して上場初日に1788円で値段が付いたあと2200円まで上昇して取引を終えましたが、こうした話題性の高い会社の株も当面の資金が無くても「一般信用取引」を活用することで購入してキャピタルゲイン(値上がり益)を狙うことも可能なのです。

このように信用取引の仕組みを上手に利用する事で、現物株のみを取引するよりも幅が広がりますね。

また、こうした信用取引の仕組みを上手く活用して利益を上げるために重要なことは、銘柄選びの際、購入や売却したい銘柄が「制度信用取引」銘柄なのか「一般信用取引」銘柄なのかを確認することに加え、「信用銘柄」か「貸借銘柄」なのかも確認して事前に知識として頭に入れておくことだと思います。

現在のように安定しない相場でも、相場動向に合わせて信用取引を活用して上手く乗り切れるよう、仕組みや活用法などを今後もやさしくお話ししていきますので、引き続きこのコラムにお付き合いください。

次回は、信用取引のポイントや注意点などについてお話しします。

コラム執筆:福永 博之

株式会社インベストラスト代表取締役。IFTA国際検定テクニカルアナリスト。ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ 株式・資産形成講座 講師。勧角証券(現みずほインベスターズ証券)、DLJdirectSFG証券(現楽天証券)、同証券経済研究所チーフストラテジストを経て、現職。現在、投資教育サイト《アイトラスト》の総監修を務める。ラジオNIKKEI、テレビ東京、TOKYO MXテレビ、CS日テレなどの株式関連番組にレギュラー出演。マネー雑誌の連載のほか、執筆多数。最新刊『めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った「株」チャートらくらく航海術』(ダイヤモンド社刊)では、チャート分析の基本中の基本、ローソク足に徹底的にこだわって騰がる株を見つける方法をわかりやすく解説し、好評を博している。

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