第2回 投資を通じた復興支援 スペシャルコラム

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第2回 投資を通じた復興支援 スペシャルコラム

今年の4月、「私たちも何かお役に立てないか」という気持ちで被災地の事業者の方々とお会いしましたが、そんな気持ちはすぐに変わりました。
経営者の皆さまの「事業へのこだわり」、「海への敬意」、「地域への責任感」、「再建への力強さ」に心動かされ、すぐに、私たちはファンとなってしまいました。
コラム後編となる今回は、そんな被災地で戦う方々を紹介させてください。
宮城県気仙沼市唐桑町。この地で3代約100年にわたり牡蠣の養殖をしている漁師一家、有限会社盛屋水産は今回の震災により、加工場や養殖設備などが全壊・流出しました。

気仙沼でもその味に高い評価を得ていたその秘訣は、海につるしておくだけという養殖業者も多い中、盛屋水産では、夏は温水に牡蠣をつけ、周りについた海藻や貝を除く。冬は岩のように重なった牡蠣をひとつひとつ手作業で外しロープに付け替える作業。そして、1年をとおして静かな流れのある「潮とおし」の良い場所への牡蠣の移動。これらすべてを牡蠣1個1個に十分な栄養を与えるために行っていました。

しかし、これまではどんなに手をかけても市場を経由することで他の牡蠣と同様に扱われ、価格も同じになり、収益にもつながらない、という課題がありました。

「海の恵みを受け丹精込めて作った牡蠣を自分たちが率先して直接消費者のみなさんにお届けし、価値を認めていただくことにより、より良い生産につながる。漁業っていいな、と感じ、養殖を営む後継者が育ち、漁業が次世代につながる。この地域と漁業の再生産につなげたい。」

そんな想いを込めて、牡蠣の養殖の再開はもちろん、消費者の方への直接販売、残された唐桑町の漁師文化が色濃く残る唐桑御殿(入母屋造りの勇壮な家屋)の自宅も修繕し、漁師の牡蠣料理が食べられる漁師レストランと養殖筏での水揚げ体験などの事業開始の準備を始めています。

農業の分野でも新しい挑戦が行われています。宮城県仙台市宮城野区で個人で米、野菜の栽培を行っていた瀬戸誠一さん。自宅・車・農機などが震災で流されましたが、再度、農業の再開を奮起。これまでの個人ではなく、仲間と共同で「株式会社さんいちファーム」を設立、そして、水耕栽培技術を提供する企業の支援も受け、津波による土壌の塩害が広がる中、新たに水耕栽培の準備を開始しています。

「これまで農業では、子供を大学に行かせられなかった。そんな農業に戻ってもしょうがない。若者が農業に未来を感じるためにも、安心・安全で通年栽培で収益が見込め、雇用・収入の安定の可能性がある水耕栽培にかけたい。」

こうした第一次産業をはじめ、様々な分野で、被災地では新しい取り組みが始まっています。

岩手県大船渡市にて鮮魚・加工品の販売を手がける「有限会社三陸とれたて市場」の八木社長は言いました。
「東北にはまだまだ光が当たっていない食材など宝がたくさんある。今回、ファンドを通じて、出資者のみなさんと一緒に、東北の宝探しをさせて頂いている気持ちです。」

こうした取り組みを強い覚悟で挑む事業者の方々とつながり、一緒に参加できるのが本ファンドだと思っています。ぜひ、ご覧になってみてください。

セキュリテ被災地応援ファンドHP
http://oen.securite.jp/

コラム執筆 小松真実
マイクロ投資プラットフォーム「セキュリテ」を運営するミュージックセキュリティーズ社を経営。現職以前はミュージシャンとして音楽活動を行っており、ミュージシャンが資金調達を行えないことが、音楽的にも経済的にも独立性を阻むものとして、ファンから投資を募るファンドを組成することを目的に、2000年に創業。

2006年より、様々な業種の事業者のファンド組成を開始。現在、144本のファンドを組成している。東日本大震災における被災企業を支援するため、「セキュリテ被災地応援ファンド」を立ち上げ、開始9か月間で14,000人の個人投資家を集めている。
多摩大学卒業(経営学専攻)、早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。-----
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