第5回 新年にあたり、今年の相場動向を踏まえた信用取引の始め方【信用取引を上手に活用する方法】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第5回 新年にあたり、今年の相場動向を踏まえた信用取引の始め方【信用取引を上手に活用する方法】

本年もよろしくお願いいたします。

2012年の大発会は欧米株式市場の上昇に連動する形で始まりましたが、欧州のソブリンリスクや円高は今も続いており、まだまだ予断を許さない状況です。そうした中で、投資家にとって重要になってくるのが、収益機会を逃さずどのように対応するかということだと思います。もちろんリスクを取らないという考え方もありますが、リスクを取らなければリターンも期待できないというのはみなさんご承知のとおりです。

そこで今回は、今後の動向を踏まえどのように信用取引を始めればよいかについてお話ししたいと思います。

これまでもお話ししてきたとおり、信用取引は上昇相場でも下落相場でも利益を上げることが期待できる取引ですので、株価が動けば利益を上げる可能性が広がります。また、新年の動きを見る限り、2012年は昨年末とは異なり何らかの動きが出てきそうです。

そうした中、信用取引口座を開設後、株を「買い建て」するのか、あるいは「売り建て」するのかを決めて注文を出すわけですが、このときに注意しなければならないのが保証金を現金にするか、有価証券(株券など)にするかです。

では、なぜ信用取引の保証金をどちらにするか考えなければならないのでしょうか?
信用取引の保証金を現金にした場合と有価証券にした場合のそれぞれのメリット・デメリットを考えてみましょう。

信用取引の保証金を現金とした場合の最大のメリットは保証金の額が変動しないことだと思います。有価証券の場合、担保に入れた株の価格が変動すると保証金額が増減することになります。増加した場合はよいですが、減少してしまった場合、追加で保証金を入れる必要が出てきますので注意が必要です。

一方、現金の場合デメリットですが、手元に最低保証金額の資金が必要になりますので、現金がなければ信用取引が始められないことになります。これでは売買チャンスを逃すことにつながりかねません。

続いて、有価証券を担保にした場合のメリットを考えてみましょう。これは、株券の有効活用につながることが考えられます。通常、預金であれば利息が付きますが、株券の場合、配当はもらえても、ただ置いておくだけで利息などは付かないわけですから、値下がりしてしまった株券を持っている場合、資金を寝かせておくだけのことになってしまいます。信用取引の担保にこうした株券を利用することで資金の有効活用につながるわけです。

また、株券と多少の現金があればすぐに信用取引を始めることができ、売買チャンスを逃すことがなくなります。

続いて、有価証券の場合のデメリットですが、これは株価の変動による担保価値の増減です。さきほど、担保価値の減少はよくないものの、増加はよいと書きましたが、本当によいのでしょうか?

実は、これにもよしあしが考えられます。なぜなら、担保価値が増加したことから買い株数を増やしたあと再び株価が元の価格に戻ってしまったり、また下落してマイナスになってしまったりした場合、やはり追加で証拠金が必要になる場合が出てくるからです。

従って、有価証券を担保にした場合、常に担保価値(通常は時価の80%ですが、詳細はマネックス証券のウェブサイトでご確認ください)に注意を払い、追加で保証金が必要にならないかどうかのチェックが必要になってくるのです。

では、信用取引を実際に始めるときに、保証金をどのような割合にするのがよいでしょうか。担保価値が株価の動きに左右されるとすれば、有価証券の担保比率をなるべく下げ、現金の比率を上げて始めるというのが妥当ではないかと思われます。

特にこれまで購入した株が値下がりしている中で、株価がさらに下落するかもしれないなどというケースでは、現金だけでは信用取引開始基準に満たなくても、塩漬け株を担保にして信用取引の売り建てを行うことができます。

一方で、市場環境が何かのきっかけで好転し始め反発が続いた場合、値下がりした保有株が買い値まで戻るのをただ待ち続けるのではなく、信用取引の担保にすることで個別株の売買が行え、別途利益を上げるチャンスがでてくることも考えられます。

このように現金と有価証券をうまく活用すれば、チャンスを逃すことなく信用取引が始められますので、お手元の資金や保有株など、ご自分の資産の見直しを、新年を迎えた今、行ってみてはいかがでしょうか?

コラム執筆:福永 博之

株式会社インベストラスト代表取締役。IFTA国際検定テクニカルアナリスト。ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ 株式・資産形成講座 講師。勧角証券(現みずほインベスターズ証券)、DLJdirectSFG証券(現楽天証券)、同証券経済研究所チーフストラテジストを経て、現職。現在、投資教育サイト《アイトラスト》の総監修を務める。ラジオNIKKEI、テレビ東京、TOKYO MXテレビ、CS日テレなどの株式関連番組にレギュラー出演。マネー雑誌の連載のほか、執筆多数。最新刊『めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った「株」チャートらくらく航海術』(ダイヤモンド社刊)では、チャート分析の基本中の基本、ローソク足に徹底的にこだわって騰がる株を見つける方法をわかりやすく解説し、好評を博している。

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