マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
前回お話ししましたが、ご自分の資産状況について確認をされたでしょうか?
※前回コラム「新年にあたり、今年の相場動向を踏まえた信用取引の始め方」
ちゃんと確認をされた方は、今後自分の取るべき行動について少しずつ見えてきたのではないかと思います。
では、資産状況を確認した方たちのために、今回は実際に信用取引を始めた後の決済方法についてお話ししたいと思います。
信用取引は一定の証拠金を差し入れ、株券やお金を借りて行う取引ですが、決済方法の賢い活用法があります。「買い建て」、「売り建て」時の決済方法をおさらいしながら見ていきましょう。
まず「買い建て」ですが、決済方法は二つあります。一つは、株を買った後に売って返済する「反対売買」です。「反対売買」の反対とは「買い建て」を「売って返済する」ことを指します。これは現物株を買って売ることと考え方は同じです。
ただ信用取引の場合、お金を借りて買っていますので金利をコストとして負担しなければなりません。そのため、「買い建て」を行った後はなるべく早く「反対売買」を行う必要があるのです。
二つ目の決済方法は「現引き」です。「現引き」は「買い建て」した後、購入代金に加え手数料などのコストを含めた金額を証券会社に差し入れて、株券と引き換える決済方法です。実は、これが「賢い決済方法」の一つなのです。
なぜ「賢い決済方法」かというと、「現引き」は現金を差し入れて株券を引き取るため、金利負担がなくなります。また、「買い建て」が成功して値上がりして利益が出ている時、金利負担等のコストを無視しがちですが、そうした時でも現引きしてしまえば金利を負担せずに現物株として保有し、焦らずに値上がりが止まるまで利益を伸ばすことができます。
信用取引はコスト面やレバレッジを効かせている分、短期で決済する必要があるわけですが、現引きしてしまえばそうした心配がなくなることになります。
一方で「現引き」と言うと、実現損を発生させないために含み損を抱えたまま行うことが多いように思いますが、そうした投資行動は、実は「塩漬け株を作ってしまう典型的なパターン」になりますので気を付けたいところです。
続いて「売り建て」の決済方法についてです。「売り建て」の決済方法も二つあります。一つは「買い建て」でお話しした「反対売買」です。これは「売り建て」した「建て玉」を買い戻して決済する方法です。そしてもう一つの決済方法が「現渡し」です。これは、「反対売買」を行わずに「売り建て」した銘柄の建て玉数と同じだけ株券を用意し、その株券を使って返済する方法です。
これも「賢い決済方法」と言えそうです。なぜなら、保有株の値下がりが株主優待の権利付き最終売買日と重なってしまった時など、優待を取って値下がりを我慢するか、あるいは、優待をあきらめて売却してしまうか迷ってしまうところです。しかしこの決済方法を知っていれば心配することはありません。
保有株の値下がりリスクを回避するために保有株数分だけ「売り建て」しておいて、値下がりしたところで前述の「反対売買」を行うことで値下がりリスクを回避することができますし、権利を取った後の株価の値下がりが止まらないようであれば、「反対売買」せずにそのまま「現渡し」することで売却代金が口座に入ってきますし、優待も取れるという一石二鳥の効果が期待できることになるのです。ただ「売り建て」の際は逆日歩の発生に注意が必要です。
これから2月、3月と決算シーズンに入りますが、今からしっかり考えて信用取引の豊富な決済方法を有効活用できるように準備しておきましょう。
コラム執筆:福永 博之
株式会社インベストラスト代表取締役。IFTA国際検定テクニカルアナリスト。ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ 株式・資産形成講座 講師。勧角証券(現みずほインベスターズ証券)、DLJdirectSFG証券(現楽天証券)、同証券経済研究所チーフストラテジストを経て、現職。現在、投資教育サイト《アイトラスト》の総監修を務める。ラジオNIKKEI、テレビ東京、TOKYO MXテレビ、CS日テレなどの株式関連番組にレギュラー出演。マネー雑誌の連載のほか、執筆多数。最新刊『めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った「株」チャートらくらく航海術』(ダイヤモンド社刊)では、チャート分析の基本中の基本、ローソク足に徹底的にこだわって騰がる株を見つける方法をわかりやすく解説し、好評を博している。
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