マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
前回は損失を拡大させないための注意点についてお話ししましたが、いくら気を付けていても損失が発生してしまうことがあります。そうした時にはどのように対応すればよいのでしょうか?今回は損失が発生した時の対処法についてお話しします。
損失発生と言った場合、大まかには二通りが考えられます。一つは、信用取引で買建てや売建てしたあと含み損が発生している場合と、もう一つは担保に差し入れた有価証券が下落している場合です。
一つ目の建玉がマイナスになって含み損が発生している場合ですが、この時点でいくらマイナスになったら追加証拠金を差し入れなければならないのか、事前に把握しておく必要があります。
例えば、保証金を30万円差し入れて1000円の銘柄を1000株買った場合、建玉の金額は1000円×1000株で100万円となります。また、この時の保証金維持率は30万円÷100万円で保証金率は30%ですが、マネックス証券の最低保証金維持率は25%ですので、保証金維持率が25%を割り込んでしまうような場合に追加証拠金が発生することになります。
ここで、評価損がいくら発生した場合に追加保証金を差し入れなければならないかということを頭に思い浮かべておく必要があるわけですが、みなさんは1000円で買った株がいくら以下になったら追加保証金の差入れが必要になるかお分かりですか?
そうです、949円以下になった時に追加証拠金を差し入れなければならなくなります。
実際に計算してみるとこうです。
評価損=(949円「時価」-1000円「買値」)×1000株=-5.1万円となりますが、この金額が保証金の30万円から差し引かれ、保証金は「24.9万円=30万円-5.1万円」となります。また、当初差し入れた保証金から評価損が差し引かれて24.9万円に変わりましたので、当初の建玉金額100万円の何%になっているかを計算し直す必要が出てきます。
そこで、計算し直して見ると・・・。
24.9万円「再計算した保証金額」÷100万円「当初の買建金額」=24.9%
保証金率が24.9%となり、最低維持率の25%に0.1%足りなくなってしまいます。こうなると追加証拠金の差入れが必要になってくるわけです。
中には、「少しの金額だから何とかならないの。」、「おまけして!」といったことを考える人がいるかもしれませんが、これはルールですので変更はできません。
このように、評価損が発生した時点で信用取引の保証金維持率を確認し、25%を切らないかどうかをチェックしておき、いくらになったら追加保証金の差入れが必要になるのかを考え準備しておかなければならないわけです。
続いては信用取引の担保に有価証券を活用した場合ですが、この場合、評価損発生の有無にかかわらず、担保証券の値下がりによって担保価値が減少します。その場合、建玉に評価損が発生していなくても、担保証券のマイナス分が保証金から差し引かれ、前述のような最低保証金維持率割れが発生することが考えられるのです。
このように損失が発生してしまった場合、追加保証金の差入れが必要になるわけですが、実はこのあとが問題です。なぜなら、追加保証金を差し入れる時、少ない金額しか差し入れ無かった場合、更なる値下がりが起こった場合に再び保証金の差入れが必要になってしまい、安心して取引を行うことができなくなってしまいます。
したがって、追加保証金の差入れが発生してしまった場合は、なるべく多めの資金を差し入れることが重要であると思われますし、保証金の変動が大きくならないよう有価証券だけではなく現金と合わせて差し入れておくことがポイントになります。
ただ、そもそも安心して取引ができるように、保証金維持率に余裕を持たせておくことが重要です。
コラム執筆:福永 博之
株式会社インベストラスト代表取締役。IFTA国際検定テクニカルアナリスト。ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ 株式・資産形成講座 講師。勧角証券(現みずほインベスターズ証券)、DLJdirectSFG証券(現楽天証券)、同証券経済研究所チーフストラテジストを経て、現職。現在、投資教育サイト《アイトラスト》の総監修を務める。ラジオNIKKEI、テレビ東京、TOKYO MXテレビ、CS日テレなどの株式関連番組にレギュラー出演。マネー雑誌の連載のほか、執筆多数。最新刊『めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った「株」チャートらくらく航海術』(ダイヤモンド社刊)では、チャート分析の基本中の基本、ローソク足に徹底的にこだわって騰がる株を見つける方法をわかりやすく解説し、好評を博している。
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