マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
「2日新甫は相場が荒れる」という言葉があります。月の初めの1日が休みで、相場が2日から始まることを2日新甫と呼んで相場が荒れるので気をつけようという格言ですが、今週スタートした4月も2日新甫ですね。相場格言なぞあてにならない、と軽く見るなかれ。2日新甫というのは、月の始めが休みである、ということですので確率的にはほぼ月曜日スタートとなります。市場に影響を与える重大なニュースが金曜日大引け後に発表され、月曜から相場に材料が織り込まれるケースが多々ありますね。
例えばサミットなどの決定事項は週末に出てきます。ここ数年続いている欧州債務問題でも欧州要人の会合は週末に開催されるケースが多く、また預金準備率の引き上げなど中国の突然の金融政策変更も何故か金曜引け後や週末に発表され、月曜の相場の撹乱要因となっています。先週末1日の日曜にも中国のPMIが発表されましたが、このところの豪ドルの動きは、中国の経済指標が大きく材料視されているため、こうした週末リスクは為替市場にとっても注意が必要です。2日新甫が荒れるというのは、月が変わり新しい資金が入ってくるタイミングであったり、心理的な変化が起こるようなタイミングでの月曜スタートで、週末リスクが織り込まれて大きく動いたケースが目立って意識されたということなのでしょう。
また2日新甫の月は必ず13日が金曜日となります。つまりSQ日は必ず13日の金曜日に当たるというわけ。だから何なのだと聞かれると困るのですが、ちょっと気になるでしょ?!
さて冗談はほどほどにして、4月の為替市場のアノマリー(はっきりとした理論的な根拠はないが、経験則からそのような動きとなりやすい事象)からドル円相場の行方を考察してみましょう。
4月は新年度入り。日本企業にとって期首となり、生保や投信が新年度の海外投資を始動させる時期であるために円安となりやすいと言われています。株式市場では「4月高、鯉のぼり天井」などと呼ばれ、5月の鯉のぼりの時期までは新年度相場で新しい資金が流入し買いが入るので株が上がるとされています。ただし、鯉のぼりの季節が過ぎたら株は売り。新年度の買い相場が一巡するため勢いが続かなくなる為だとされていますが、アメリカでも「Sell in May and Go Away」と言って5月に全て売り払ってしばらく遊びに行けという格言があり、日本の格言とカレンダー的に一致しているのは面白いですね。欧米は6月から10月がサマーバケーションの時期で、長期休暇を取る人が多く、株を売って出かけてしまうため、買い手不足になって株価は低調になるということのようです。
アノマリー的には4月は株高、円安となるだろうとされているのですが、今年は1-3 月に過剰流動性を背景に株価もドル円相場も20%超えの大幅上昇となっているだけに注意が必要だと感じています。リスクを選好してきた背景には日米の金融緩和策があったわけですが、3月後半には息切れ気味で更なる「追加緩和策」を催促し始めたようにも見え、FRBや日銀がこれに応えなければ相場が失速しそう。アノマリーは、その該当タイミングの直前までの相場の地合いを鑑みて、それまでが逆の動きだった時には大いに採用したいものですが、すでにそうなっているケースでは「その限りではない」と慎重に見るほうがいいでしょう。
コラム執筆:大橋ひろこ
フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自信のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。
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