マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
2012年4月2日の東証REIT指数は、昨年8月4日以来の1,000ポイント超えとなりました。J-REIT市場は、新年度初めから良いスタートを切ったと言えるでしょう。
またJ-REIT市場では、新規上場の動きも出ています。具体的にはケネディクス・レジデンシャル不動産投資法人(証券コード3278)が4月26日の上場を予定しています。3278が上場すれば2007年10月以来、4年半ぶりの新規上場となります。その他銘柄も上場に向けた準備を進めるなど、2012年度のJ-REIT市場は価格回復に伴って再活性化に向けて進み始めています。
ただし、2012年度のJ-REIT市場は、昨年度とは異なりファンダメンタルズ(各銘柄の収益力)に左右される相場になる可能性が高くなっている点に注意が必要です。
昨年度J-REITのファンダメンタルズは、安定していました。たとえば、上場銘柄の1口あたり分配金の合計額は31万円弱で年間を通じて推移していました。昨年度の価格下落は、欧米の財政問題によって投資家リスク回避の動きが過剰に生じたことによるものだったのです。言い換えれば価格は変動したものの、大半の銘柄では購入時の分配金利回りは確保できていたのです。
一方で2012年度は、個別銘柄の投資用途によってファンダメンタルズが受ける影響が異なる可能性が高くなっています。今年は個別銘柄の投資用途に注目して投資を行うことが昨年度以上に重要になっているのです。
J-REITの投資用途は大別するとオフィス・住居(J-REITではレジデンスと呼称する場合が多くなっています)・商業施設の3種類となります。商業施設には、イトーヨーカ堂などの郊外型、アパレル会社などがテナントになる都市型、ホテル、物流施設などが含まれます。また銘柄によって特定用途だけに投資する「特化型」、二つの用途に投資する「複合型」、全ての用途に投資する「総合型」に区分できます。
以下の図表1:過去2年の騰落率(※)を見ると、上位3銘柄は住居特化型の「日本賃貸住宅投資法人(8986)+61.4%」、オフィス主体の総合型「森ヒルズリート投資法人(3234)+60.7%」、ホテル特化型の「ジャパン・ホテル・リート投資法人(8985)+57.8%」と三つの用途に分散しています。しかし20%以上上昇した10銘柄中6銘柄が住居系銘柄になっている(図表)点が特色です。次号では、昨年度価格面で評価された住居系銘柄への投資について紹介する予定です。
(図をクリックいただくとファイルをダウンロードしていただけます。)
(作成:アイビー総研株式会社)
コラム執筆:アイビー総研株式会社 関 大介
早稲田大学法学部卒業。2007年2月に不動産証券化コンサルティング及び情報提供を行うアイビー総研を設立し、代表取締役就任。
「JAPAN-REIT.COM」(http://www.japan-reit.com)の運営責任者を兼任。前職では、2001年2月から不動産証券化サイトを5年間運営。
J-REIT市場創設以来10年以上関わり続けている。
著作は「J-REIT最新格付けデータブック(秀和システムズ社)」他。
<本内容は、筆者の見解でありアイビー総研株式会社及びJAPAN-REIT.COMを代表したものではありません。個別銘柄に関する記載がある場合は、その銘柄の情報提供を目的としており、お取引の推奨及び勧誘を行うものではありませんまた執筆時点の情報を基に記載しております。>
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