第4回「ETFをタイムカプセルに入れる」 【ETF解体新書】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第4回「ETFをタイムカプセルに入れる」 【ETF解体新書】

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。ETFという商品は「ふたつの顔」を持っています。ひとつは、これまでご紹介してきた「新しい銘柄」としての顔です(株の機動性を備えています)。もうひとつは、「投資信託の進化形」としての顔です。ETFという道具を分析すると、投資信託から「リスク分散」を、インデックス運用から「低コスト」というメリットを付与されていると実感します。

例えば、こんな想像をしてみましょう。ひと昔前に、「成長性が高いと考えられる新興国の株式を500社ほどピックアップして、わたしのためにバランスよく買い付けてくれ!」なんて注文を出しても、誰も相手にしてくれませんでした。ところが今日では、上記ニーズは「新興国株式ETF」を購入するだけで満たされてしまいます。ETFを用いれば、驚くほど広範な分散投資が、低コストで誰にでも実践できるのです。

新興国株式ETFというカテゴリーでは、アメリカ市場に上場するiシェアーズ・MSCI エマージングマーケッツ・インデックスファンド(銘柄コードEEM)が有名です。当該ETFは2003年に運用を開始し、1日あたりの出来高がおよそ5,000万口、純資産は約380億ドル(2012年4月24日現在)(約3兆円)に上ります(まさにメガETFですね)。当ETFの設定来の成績は年率17.81%を誇ります(2012年3月31日現在)。このETFが連動を目指すMSCIエマージングマーケット・インデックスは1988年の算出開始以来、指数そのものが10倍以上に膨らんでいます。つまり、成長性が高い国・地域のETFを購入し、それを「タイムカプセル」に入れるように長期保有することで、市場全体の伸びしろを「リターン」として獲得できるのです。

アメリカ市場には運用年数が長く、圧倒的な規模、流動性を誇るETFがたくさん存在します。マネックス証券では2008年より、米国市場に上場するETFに投資を行うことが可能になりました(現在、香港市場と合わせて、120本以上の海外ETFにアクセスできます)。筆者は昨年、マネー誌の取材で米国の投資助言会社を訪問したのですが、その会社はETFのみを用いたポートフォリオ提案に特化していました。人に勝ることを重視する米国で、市場平均に投資を行うETFが受け入れられているのはとても興味深いことです。次回は海外ETFの詳細についてお伝えしていきます。

※上記に記載の銘柄に関しては当コラム筆者の個人的見解であり、この取引を推奨し、勧誘するものではありません。

コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表 

2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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