マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
みなさんこんにちは。株式会社インベストラストの福永博之です。
最近、ニュースの株価動向の解説などで、先物という言葉を耳にする機会が増えたのではないかと思いますが、今週からは、その日経225先物についてお話ししたいと思います。
日経225先物は1988年9月に導入されたもので、大阪証券取引所で取引されていますが、この日経225先物取引のことをデリバティブ取引とも呼んでいます。デリバティブは「派生商品」のことですが、一般的な派生商品の意味は、株や債券などの金融商品から、いわゆる金融工学を駆使することによって生まれた商品のことを指します。
したがって、日経225先物は、日経平均株価の現物指数を元の価格として連動するように作られたデリバティブ商品となるわけです。
では、なぜこのようなデリバティブ商品が導入されたのでしょうか。現在は、先物の価格の上下動を利用して売買を行い、値幅を取る取引が増えていますが、導入された当時は、現物指数が値下がりした時のリスク回避がその目的だったと記憶しています。
また、なぜ先物取引がリスク回避に有効と考えられるのでしょうか。それは、先物取引独特のルールや特徴があるからです。
取引ルールなどの詳細についてはマネックス証券のウェブサイトを参照していただくとしてここでは、簡単に日経225先物取引のその独特のルールや特徴についてお話しします。
先物取引がリスク回避に適していると考えられるもっとも大きな特徴は、少ない証拠金で大きな金額の取引ができる点です。例えば、信用取引は売買代金の最低30%が証拠金として必要ですが、先物にはSPAN方式という証拠金の計算方法があり、少ない証拠金でリスク管理ができるようになっています。
実際の取引で日経225先物の1単位(1枚と数えます)の売買は、先物価格×1,000の金額となります。例えば、先物価格が9,500円の時、9,500円×1,000倍で950万円の取引が可能となるわけです。これをこれまでお話ししてきた信用取引と比較するとどうでしょう。950万円の売買を行う場合、その30%の285万円の証拠金が必要になりますが、一方の先物取引では、取引所が定める証拠金(2012年5月1日現在:33万円)×証券会社の掛け目といった金額になります。したがって、33万円に証券会社の掛け目をかけた金額で950万円の取引ができることになるのです。
これを信用取引のレバレッジと比較したらどのようになるでしょうか。信用取引はおよそレバレッジが3倍なのに対して、先物取引では、950万円÷33万円=28.78倍といったレバレッジになっているのです。
これが少ない証拠金で大きな金額の取引ができるという理由です。また、先物には今お話ししているラージと呼ばれるもの以外に、そのサイズをラージの10分の1にしたミニというものもあり、売買金額が10分の1になるかわりに、証拠金の額も10分の1の3.3万円になるなど、少額からでも取引しやすくなっているのです。
ここまで日経225先物についてお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか。信用取引と比較して、少ない証拠金で取引ができます。個別銘柄の選別に迷った時や、少ない証拠金で取引を始めてみたい投資家にとってはうってつけの商品と言えるのではないでしょうか。
ただ、予想と逆に動き始めた時は損失が拡大する恐れがありますので、信用取引と同様に利益確定やロスカットをしっかり行う必要があると言えます。
コラム執筆:福永 博之
株式会社インベストラスト代表取締役。IFTA国際検定テクニカルアナリスト。ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ 株式・資産形成講座 講師。勧角証券(現みずほインベスターズ証券)、DLJdirectSFG証券(現楽天証券)、同証券経済研究所チーフストラテジストを経て、現職。現在、投資教育サイト《アイトラスト》の総監修を務める。ラジオNIKKEI、テレビ東京、TOKYO MXテレビ、CS日テレなどの株式関連番組にレギュラー出演。マネー雑誌の連載のほか、執筆多数。最新刊『めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った「株」チャートらくらく航海術』(ダイヤモンド社刊)では、チャート分析の基本中の基本、ローソク足に徹底的にこだわって騰がる株を見つける方法をわかりやすく解説し、好評を博している。
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