第2回 先物限月について(ラージ、ミニ) 【福永博之の先物・オプション講座】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第2回 先物限月について(ラージ、ミニ) 【福永博之の先物・オプション講座】

株式会社インベストラストの福永博之です。今回は、先物の特徴である限月(ゲンゲツと読みます)についてお話しします。

先物はあらかじめ取引できる期限が決まっており、その取引最終売買月のことを限月と呼んでいます。たとえば、6月が最終売買月となる先物のことを日経225先物6月限(ロクガツギリ)と呼んだり、9月が最終売買月になるものを日経225先物9月限(クガツギリ)と呼んだりしています。

これまでお話ししてきた信用取引の場合、一般信用取引と制度信用取引があり、制度信用取引は6ヵ月で返済しなければいけないというルールがありましたが、日経225先物も同様に返済までの期限が決まっているのです。

ではどのような違いなのか、これも信用取引と比較して見てみましょう。おさらいになりますが、信用取引(制度信用取引)の場合、取引を行った日から起算して6ヵ月後をその返済期限としていますので、取引参加者の取引日が異なると、それぞれの返済期日も違ってくるわけですが、先物取引の場合、いつ取引を行っても、同じ限月の先物を売買した投資家の最終売買日は同じになっているのです。

従って、先物取引を行う場合、どの限月の先物にするかをしっかり確認した上で取引を行う必要があるのです。また、この限月ですが3ヵ月毎に設定されていますので、限月がもっとも近いものから清算されると同時に、次の新しい限月の先物が上場するといった仕組みになっています。

実際に2012年5月上旬現在では、2012年6月限、9月限、12月限、2013年3月限、6月限と5つの限月の先物が上場しており、今年の6月限の最終売買日(6月7日)を過ぎると、この6月限はなくなり、これまでなかった2013年9月限が新たに上場して5つの限月の先物が上場することになるのです。

また、これらのなかで清算月がもっとも近いものを期近(キジカ)と呼び、期近よりも後に期限が到来する先物のことを期先(キサキ)と呼んでいます。

ここで、先物取引をこれから始めようという人にとって問題となるのが、5つある限月のうちどの先物を選べばよいのかということになると思います。現物株取引を行っている人であれば、期限がないことが当たり前ですので、なるべく清算月までの期限の長いものを選ぶ方がよいのではないかと思われるかもしれませんが、ひとつ注意点があります。

それは売買高の違いによる流動性です。先物は売買が多く流動性が高いというのが一般的な見方ですが、実際期近と期先では売買高が大きく異なります。たとえば、2012年5月2日の期近の売買高が51,789枚だったのに対して、期先の9月限は431枚と100分の1以下になっているのです。個人投資家が数枚の取引を行う分には問題ないと思いますが、それでも大口の売り物が出てきてしまうと、想定した値段で売れなくなってしまうなどの問題が出てきてしまうことが考えられるのです。

従って、先物取引を行う場合、なるべく売買高の多い期近の先物を選んで売買する必要があると言えます。ただ、またここで疑問を感じる人がいるのではないかと思います。なぜなら、信用取引で利益が出ている建て玉であれば、買い付け代金に諸経費を加えたものを支払って、現物株を現引きすることができましたが、先物の場合、自動的に清算されてしまいますので含み損益にかかわらず損益が確定してしまうことになってしまい、利益を伸ばすことができなくなるのではないかという点です。

しかしこうした時、最終売買日までに期近の先物を返済して、新たに期先の先物を買うといった取引を行うことで乗り換え売買が成立し、実質的に期限を延ばすことにつながるわけです。こうした乗り換えの動きのことを、先物取引では「ロールオーバー」と呼んで一般的に行われています。

また、このロールオーバーが活発になると、期近と期先の売買高が接近したり、逆転したりするなどの現象が起こることになります。

コラム執筆:福永 博之

株式会社インベストラスト代表取締役。IFTA国際検定テクニカルアナリスト。ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ 株式・資産形成講座 講師。勧角証券(現みずほインベスターズ証券)、DLJdirectSFG証券(現楽天証券)、同証券経済研究所チーフストラテジストを経て、現職。現在、投資教育サイト《アイトラスト》の総監修を務める。ラジオNIKKEI、テレビ東京、TOKYO MXテレビ、CS日テレなどの株式関連番組にレギュラー出演。マネー雑誌の連載のほか、執筆多数。最新刊『めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った「株」チャートらくらく航海術』(ダイヤモンド社刊)では、チャート分析の基本中の基本、ローソク足に徹底的にこだわって騰がる株を見つける方法をわかりやすく解説し、好評を博している。

ダイヤモンド社からテクニカル分析の本を出版しました。『FX一目均衡表 ベーシックマスターブック』(2月10日発売)一目均衡表の書き方から分析手法まで、これまでにないくらい詳しく書かれた本です。中には「一目均衡表は分足トレードでも有効か?」とか、一目均衡表を「座標軸で考える」などという、私なりの分析も書いてありますので初心者の方から実際に一目均衡表を活用されている方まで、読みごたえのある本になっています。

マネックスからのご留意事項

「特集1」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

マネックスメール登録・解除

コラム一覧