マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
株式会社インベストラストの福永博之です。今回は225先物の実際の取引とその注意点についてお話します。
225先物にはラージとミニがありましたが、ラージとミニは呼値が異なります。呼値とは、買い値と売り値の差、あるいは指値注文を出す際の刻み値段のことです。
例えば、ラージの売り値が9,990円のとき、最も近い買い値は9,980円で、この差は10円となりますが、この差となる10円のことを呼値と呼んでいるのです。
またミニの場合は、売り値が9,995円のとき最も近い買い値は9,990円になりますので、その差は5円で呼値は5円となります。この呼値の考え方は、個別株の売買でも同じです。また個別株の場合は価格帯によって変化しますが、先物の場合はラージの10円とミニの5円に変わりはありませんので覚えておくとよいでしょう。
続いて、呼値が一つ動く(これをワンティック動くなどといいます)と、どれだけの金額が動くのかも見てみましょう。例えばラージは10円×1,000×1枚=1万円となりますので、10円動くと1万円上下に動くということになり、ミニの場合は5円×100×1枚=500円で、5円動くと500円上下に動くことになるのです。
このように比較してみると、これから先物取引を行ってみたいと考えている投資家にとって、ラージよりもミニの値動きの方が小さく、損益への影響も小さいことからミニの方が始めやすいということが言えそうです。
では、実際の売買を試算してみましょう。まずは買いからです。
例えば、1枚9,990円で買った先物を10,100円で返済した場合、(10,100円-9,990円)×1,000×1枚=11万円の利益となります。
また、ミニ1枚9,995円で買った先物を10,100円で返済した場合、(10,100円-9,995円)×100×1枚=10,500円になります。
逆に先物価格が値下がりした場合では、1枚10,100円で買った先物を9,990円で返済した場合、(9,990円-10,100円)×1,000×1枚=-11万円(損失)となります。
また、ミニ1枚10,100円で買った先物を9,995円で返済した場合、(9,995円-10,100円)×100×1枚=-1万500円(損失)になります。
一方、先物を売った場合の試算では、1枚9,990円で売った先物を10,100円で買い返済した場合、(9,990円-10,100円)×1,000×1枚=-11万円(損失)となります。
また、ミニの場合は1枚9,995円で売った先物を10,100円で返済した場合、(9,995円-10,100円)×100×1枚=-10,500円(損失)となりますが、逆に先物価格が値下がりした場合では、1枚10,100円で売った先物を9,990円で買い返済した場合、(10,100円-9,990円)×1,000×1枚=11万円の利益となり、ミニの場合も1枚10,100円で買った先物を9,995円で買い返済した場合、(10,100円-9,995円)×100×1枚=10,500万円の利益になります。
(上記計算は手数料等を含んでいません)
このように、先物取引も以前にお話しした信用取引と同じように売り(ショート)では、値下がりすると利益が得られる取引なのです。
こうして見ると、先物という名前が付いているものの株の信用取引とあまり変わりないと言えますね。ただここで注意点があります。先物の場合もレバレッジが大きいわけですが、ついついレバレッジが大きいことを忘れがちです。
そこで問題です。例えば、証拠金が40万円で1万円の先物を売買した場合、いくら値下がりすると追加証拠金が必要になるのでしょうか?
答えは80円です。先物の最低証拠金は33万円(計算し易いように証券会社の掛け率は除いています)ですが、40万円のうち33万円は残しておかないといけない金額ですから、7万円までは追加証拠金は発生しないものの、80円値下がりすると-80円×1,000=8万円となり、証拠金が32万円になり、1万円の追加証拠金が必要になるのです。たった80円と思われるかもしれませんが、あっという間に動く場合もあるので注意が必要です。
また、このとき1万円の追加保証金を入金してそれで終わりというわけではありません。翌日さらに値下がりした場合、さらに証拠金が必要になりますので、信用取引同様に多めにお金を入れておく必要があります。
さらに、入金しても損失が膨らんでしまっては元も子もないわけですから、ロスカットもしっかり行う必要がありますので注意して下さい。
コラム執筆:福永 博之
株式会社インベストラスト代表取締役。IFTA国際検定テクニカルアナリスト。ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ 株式・資産形成講座 講師。勧角証券(現みずほインベスターズ証券)、DLJdirectSFG証券(現楽天証券)、同証券経済研究所チーフストラテジストを経て、現職。現在、投資教育サイト《アイトラスト》の総監修を務める。ラジオNIKKEI、テレビ東京、TOKYO MXテレビ、CS日テレなどの株式関連番組にレギュラー出演。マネー雑誌の連載のほか、執筆多数。最新刊『めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った「株」チャートらくらく航海術』(ダイヤモンド社刊)では、チャート分析の基本中の基本、ローソク足に徹底的にこだわって騰がる株を見つける方法をわかりやすく解説し、好評を博している。
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