マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
株式会社インベストラストの福永博之です。今回は、市場動向を予測する上で参考にされるSQ値と先物取引の清算についてお話しします。
そもそもSQとはスペシャルクォーテーションの略で、それぞれの頭文字をとってSQと呼んでいます。また、ここで算出されたSQ値をもとに先物、オプションの清算を行っているのです。
例えば、8,800円で先物を1枚購入し、8,850円で途中売却した場合、(8,850円-8,800円)×1,000×1枚=50,000円の利益となりますが、SQ算出日まで清算せずに放置し、値下がりしてしまってSQ値が8,755円になったとします。その結果、(8,755円-8,800円)×1,000×1枚=-45,000円となってしまい、途中売却していたら50,000円の利益がでていたにも関わらず、SQ値で清算したために損失になってしまったということになるわけです。
もちろん逆のケースも考えられますが、ここで示した例のように、SQ値が現在価格よりも低くなると想定されるケースでは、含み益があるうちに決済しておく必要があると言えまるのですが、一方で売っていた投資家にとっては45,000円の利益となり、SQ算出日まで決済せずに放置しておいた方が良かったことになります。
このように、SQ値が高くなるか、安くなるかで、買いと売りのいずれかのポジションを持っている投資家は、利益になったり損失になったりするため、それぞれの投資家の思惑で値動きが激しくなったりすることがあるのです。
例えば、株価が上昇してほしいと考える投資家は買い注文を入れますし、逆に下がってほしいと考えている投資家は売り注文を入れるなど、それぞれの投資家の思惑が交錯し、SQ当日やその数日前などにいわゆる波乱と言われる予想以上の株価変動が起こったりすることがあるのです。
中でも、3、6、9、12月のメジャーSQの前は、過去にそうした波乱が起こったことがありました。なぜなら、それぞれの投資家が上昇や下落を見込み、SQ値で清算しようと残高を積み上げていることが多いからです。
またメジャーSQを控えて株価の変動率が高くなると、それを嫌った売買が膨らみ、株価が予想以上に大きく動く要因になることがあるので注意が必要なのです。
一方で、SQ算出日はこれまで積み上げたポジションが全て清算されるために、新たなポジションを作るきっかけにもなります。そのため、取引参加者は当日やその後の株価がSQ値を上回ったか下回ったかを確認し、下回った場合は、その後値下がり傾向になりそうだとか、上回った場合は、その後の株価が上昇しそうだ、などと大まかな株価のトレンドを判断する材料にしているのです。
ちなみに2012年5月11日のミニSQは、SQ値が9,019円35銭でしたが、当日の終値が9,009円65銭とSQ値を下回ったために下落基調が続く状況となっています。SQ値当日、終値でSQ値を下回るとその後は必ず下落するというものではありませんが、こうした傾向を覚えておくとよいのではないでしょうか。
また、先物の取引を行っていない投資家や私には関係ないと考えている投資家にとっても、市場全体の動向を予測する上で先物の動向も知っておく必要があるのではないかと思います。
これまで先物という言葉に馴染めず、食わず嫌いになっている投資家の方がいらっしゃるかもしれませんが、是非この機会に先物について勉強すると同時に、先物の動きが実際のマーケットにどのような影響を与えているのか、また自分が保有している銘柄にどのように影響しているのかなどを理解し、売買判断に役立てることができる投資家になってほしいと思います。
コラム執筆:福永 博之
株式会社インベストラスト代表取締役。IFTA国際検定テクニカルアナリスト。ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ 株式・資産形成講座 講師。勧角証券(現みずほインベスターズ証券)、DLJdirectSFG証券(現楽天証券)、同証券経済研究所チーフストラテジストを経て、現職。現在、投資教育サイト《アイトラスト》の総監修を務める。ラジオNIKKEI、テレビ東京、TOKYO MXテレビ、CS日テレなどの株式関連番組にレギュラー出演。マネー雑誌の連載のほか、執筆多数。最新刊『めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った「株」チャートらくらく航海術』(ダイヤモンド社刊)では、チャート分析の基本中の基本、ローソク足に徹底的にこだわって騰がる株を見つける方法をわかりやすく解説し、好評を博している。
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